KPIツリーの作り方|具体例やメリット、作成する注意点を解説!

  • 2021.07.07

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事業運営をおこなっていく上で目標設定のために、KGIやKPIを設定している会社も増えてきました。

そして、KGIやKPIの設定をおこなう際に、KPIを体系的にまとめてわかりやすくするために、KPIツリーが活用されることも多いです。

KPIツリーは、効果が見えにくいコンテンツマーケティングにおいて良く使われる手法ですが、どの職種においても活用できるため、さまざまな会社で導入されています。

では、KPIツリーとはどのようにして作るのでしょうか?

本記事では、KPIツリーの作り方や活用例、作成するメリットについてお伝えしていきます。

KPIツリーは上手く活用すれば、抜け漏れなくKPIの洗い出しができると共に、目標達成までの道筋が明確になるので、参考にしてみてください。

KPIツリーとは

KPIツリーとは、KGI達成までのKPIを整理したロジックツリーのことです。

KPI(Key Performance Indicator)とは、事業の売上目標などの最終目標に対して、どこでどれだけの数字を達成すれば良いのかを示す中間指標のことを指します。

KPIをツリー形式にまとめる目的は、複数の指標(KPI)を視覚的に認識しやすくするためです。

実際に、目標設定をする際に複数の目標があると、どこから手をつけて良いのかわからなくなってしまうこともあるでしょう。

そのため、KPIを細分化して追うべき数字を明確にした上で、KPIツリーにすることで、MECEかどうかが判断しやすくなり、ボトルネックとなる部分も見つけやすくなります。

また、KPIツリーを作成して会社・チームに共有することで、具体的な行動指標が明確になるため、より効率的に目標達成に向けて進んでいくことができるでしょう。

MECEとは?フレームワークやアプローチの手法について解説!
KPIとは?KGIやKSFとの違い・設定方法やコツを詳しく紹介!

KGIとの違い

KPI(Key Performance Indicator)と間違えやすいのがKGI(Key Goal Indicator)です。

KPIは 「KGIを達成するための中間目標 」だとすれば、KGIは 「 KPIを達成した先にある事業における最終目標 」 のことを指します。

KPIツリーでは、KGIとKPIについて記載されていますが、KGIは「売上目標金額」が設定されることが多く、KPIは「顧客数」「契約件数」「訪問数」「アポイント数」などのKGIを達成するまでに必要な要素が設定されることが多いです。

KPIはKGIを前提として考えなけれいけない指標なため、混合しやすく間違った認識をしてしまう人もいるので、「KGI=最終目標」「KPI=中間目標」ということを覚えておきましょう。

OKRとの違い

OKR

OKR(Objectives and Key Results)もKPI(Key Performance Indicator)と混合されてしまうことも多いですが、KPIとは目的が違う目標管理手法になります。

OKRは、一つの目標(Objectives)に複数の主要な結果(Key Results)を設定する形で成り立っており、KPIツリーと似たような形になっているので、勘違いしてしまうことも仕方がありません。

しかし、KPIとの大きな違いは、設定する目標に対して評価指数をつけるという点です。

OKRでは、会社全体のOKRから各部署/チーム・個人という形でそれぞれOKRを設定します。

また、それぞれのKRの指標を2つ〜5つピックアップして、達成の自信度を10点中○点という形で示すこともKPIとの違いでしょう。

OKRについては、以下の記事で紹介しているため詳しく知りたい人は参考にしてみてください。

OKRとは?多くの急成長企業が採用する目標管理法を解説

KPIツリーの例

ここでは、人材派遣会社のKPIツリーの具体的な指標の例について紹介していきます。

KPIツリー

上記の図では、人材派遣におけるKPIツリーの指標を抽出してみました。

実際の現場では、もっと細分化されて活用されていますが、どのような形でKPIをツリー形式にしているのかイメージできるでしょう。

他にも、業界による違いや会社のビジネスモデルによる違いも出てくるため、あくまで参考例として、具体的なKPIツリーの作成方法については、後述の「KPIツリーの作り方」を参考にしてみてください。

また、KPIツリーの作成は、さまざまなツールを用いて作成することができますが、一番簡単なのがExcelのSmart Artを活用したツリーの作成です。

他にも、パワーポイントでも特定の図形を自由に選ぶことができるので、自由度が高く、より細かいKPIツリーを作成・共有することもできます。

KPIツリーを作成する4つのメリット

KPIツリーを作成するとどのようなメリットがあるのでしょうか。

KPIツリーにはKPIを整理すること以外にもさまざまなメリットがあります。

ここではKPIツリーのメリットを大きく4つに分けてご紹介していきましょう。

全体の数字を俯瞰できる

KPIツリーを作成することで、目標となる中間指標や数字が明確になり、事業全体の数字を俯瞰して見ることができるようになります。

また、全体を俯瞰して見ることで、

    • 事業運営における優先順位付け
    • 事業のボトルネックとなる部分の発見
    • 行動方針と施策立案のための仮説立て

など、全体にとって重要な要素を効率的におこなうことも可能です。

その他にも、事業全体の理解を深めることにつながり、会社全体に行動指標と具体的な目標を共有する際にも役立てることができるでしょう。

施策を立てやすくなる

KPIツリーを作成することで、全体の構造を把握し仮説が立てやすくなります。

施策を立案する際には、まず全体の情報を参考に目標達成のために何が必要になるのか、ボトルネックとなっている部分はどこなのかを可視化することも可能です。

例えば、以下の図のように商談数が目標よりも低かった場合、ボトルネックとなる要因は商談数に連なるkPIの指標の数字が原因として考えられます。

KPIツリー例

このように、全体の構造を可視化した上で数字を客観的に見ることで、頭で考えるよりも明確にボトルネックがどこにあるのかを認識しやすくなるでしょう。

そして、ボトルネックを把握して、影響度の高い部分と原因の仮説を立てることで、より高い精度で対策を打つことができるようになります。

抜け漏れのないKPI設定ができる

KGIとKPIの設定をおこなう際に、KPIツリーを用いることで、全体の関係図が可視化されるため、抜け漏れのないKPIの設定ができるようになります。

KPIを設定する場合、関連する事項を抜け漏れなくピックアップしていくことは必須ですが、ただKPIをピックアップするだけだと、どうしても相互関係が曖昧になり、抜け漏れや粒度の違いが発生することもあるでしょう。

しかし、KPIツリーとしてKGIを軸として関連するKPIを深掘りしていくと、KPIの粒度とそれぞれの数字もわかりやすくなります。

結果として、正確なKPI設定をおこなうことができるので、KPI設定をおこなう際にはKPIツリーも活用するようにしましょう。

PDCAを回しやすくなる

PDCAサイクルが普段よりも早く回すことができるようになるのも、KPIツリーを作成するメリットの一つです。

KPIツリーにより、目標の数字と実績を比較しやすくなるため、計画(Plan)が立てやすく、評価(Check)も簡単にできるようになります。

その結果、行動(Do)や改善(Action)もスピード感を持って進めることにもつながります。

また、全体の数字と構造が明確になっているため、仮説検証や施策立案のスピードを早めることができ、事業の目標達成までのスピードも早めることもできるでしょう。

KPIツリーの作り方

KPIツリーは例を見れば構造の理解はできますが、要点を押さえなければ、逆にわかりにくくなってしまうこともあります。

そのため、本項ではKPIツリーを効果的に活用するために、正しい作成方法について解説していきましょう。

KPIツリー作成の手順は大きく分けて3つのステップに分かれます。

要素を洗い出す

KPIツリー作成する最初のステップは、KPIの指標となる要素を洗い出すことです。

KPIを設定する際には、KGIを基準に要素を分解していく方法がわかりやすいでしょう。

また、要素を分解していく際には、「KGIやKPIを構成する要素にはどのようなものがあるか」という視点で洗い出すと抜け漏れがありません。

その他にも、

    • 流入から契約までのフェーズを整理して関連する要素を洗い出す
    • クリック数・PV数・コンバージョン数などのユーザーの行動にフォーカスを当てて考える
    • 事業のビジネスモデルのうち、数値化できる部分をピックアップする

など、さまざまな視点でKPIの要素を洗い出すのもオススメです。

ここでは、とにかくKGIに関連する情報を洗い出していくことが目的なので、関連性のある情報はできる限りブラッシュアップするようにしましょう。

ツリー構造に落とし込む

KPI要素の洗い出しが終わったら、次はKPIをツリー構造に落とし込んでいきます。

KPIツリーを作成する時は、遅行指標(左側)から先行指標(右側)となるようにKPIの整理していきましょう。

例えば、KGIが売上とする場合、営業が担う契約数、インサイドセールスが担う訪問アポ数、マーケティング担うリード数のような形でツリーを作成します。

実際にKPIツリーを作成していく場合には、売上から新規契約とアップセル/クロスセルで枝分かれすることもあるため、事業モデルに合わせて情報の整理をしていくと良いでしょう。

    Check

    • 遅行指標:結果に直結するような指標で、KGIに近いほど遅行指標とされている
    • 先行指標:KGIを達成するために必要な指標の中で、KGIから離れている細かい指標のことを指す

ゴールから逆算して数字を出す

KPIの要素をツリー形式に整理したら、それぞれの具体的な数値目標を決めていきます。

数値目標を設定する際には、KGIから逆算して数値を算出するようにしましょう。

例えば、事業の目標売上金額が月間1,000万円と設定した上で、現状の数値を整理してみます。

KPIツリー例その2

現時点では、月間売上金額が700万円となっており、その数値を分析していくと「成約率」や「アポイント率」を抽出することができます。

そして、その数字を参考に月間売上金額が1,000万円になった場合には、数字を参考に下記のように当てはめていきます。

KPIツリー例その3

上記の図のように、基準となる指標はKGIとして、関連するKPIの数値を明確にすることで、具体的にどれだけ行動すれば良いか明確になります。

そして、具体的な行動指標が明確になれば、実績との比較もしやすく、課題やボトルネックを見つけやすくなるので、具体的に数値を出すように心がけましょう。

KPIツリー作成の際の注意点3選

ここまでKPIツリーの作成方法について解説してきました。

KPIツリーは正しく作成することで効果的に活用できますが、設定方法を誤ると逆に行動指標が曖昧になってしまったり、適切な目標設定ができなくなったりすることもあるでしょう。

なので、最後にKPIツリーを作成する際の注意点について解説していきます。

数値化できない要素を入れない

KPIを設定する際には、「顧客満足度」などの、定性的な目標はKPIツリーには入れないようにしましょう。

KPIツリーはあくまでKGIを達成するために必要な指標を整理するもので、定性的な指標を入れてしまうと前後の流れが曖昧になり、KPIツリーの構造がややこしくなってしまいます。

また、KPIツリーを作成する際の原則は、四則演算で関連づけられる要素で構成されていることです。

その上で、前後で明確に定量化したKPI同士が関連づけられている必要があるため、できる限り定量化したKPIを設定しましょう。

また、KPIは「追いやすい指標」であることも大切です。

例えば「リードからの訪問アポイント率」など、パーセンテージをKPIと設定するケースもありますが、パーセンテージはその他の数字の影響を受けやすいため追いにくい指標となってしまいます。

なので、KPIツリーにするなら「訪問アポ数」など、シンプルで追いやすい指標も一緒に落とし込み、パーセンテージ以外でも行動量などの指標で測定できるKPIツリーを作ることで、効果を最大限に発揮することができるでしょう。

要素は必要最低限にする

KPIツリーを作成する段階で、KPIをブラッシュアップする必要があります。

しかし、関連性の薄い無駄な要素を入れ過ぎてしまうとKPIツリーの構造が複雑化してわかりづらくなるという失敗はよく起こります。

だからこそ、ブラッシュアップした指標はKGIとの関連性や前後関係が明確なKPIに絞って、わかりやすくすることが大切です。

実際にKPIツリーを作成してみると、「KGIに影響する数字を挙げてみたが、あまり影響度が高くない要素や関連性が薄い要素ばかり」というケースも多々あります。

なので、KPIツリーを作成する際には、要素は必要最低限に抑えるために、「本当にこの数字がKGIにインパクトがあるのか?」をしっかり考えながら取捨選択していきましょう。

要素を重複させない

KPIツリーを作成していると、似たような要素がたくさんあったり、表現は異なるが根本的な意味は同じ要素があったりすることも多いです。

そのため、KPIツリーを作成する際には、「重複している指標がないかどうか」を必ずチェックするようにしましょう。

「関連する要素であれば似たものでも選出したほうが良い」と感じることもあるかもしれませんが、実際に事業全体のKPIツリーを作成して見ると、KPIの数が多く複雑に入り混じっています。

そのため、適切なKPI設定や優先順位付けのために、できる限り簡潔かつ重要な要素を押さえてKPIツリーを作成することが重要です。

しかし、重複してはいけないというのはあくまで原則で、場合によっては要素が重複する場合もあるので、あくまで事業に最適なKPIツリーを作成することを最優先にしましょう。

まとめ

以上、KPIツリーを活用するメリットや作り方について解説してきました。

KPIツリーは、事業運営を効率的におこなうために非常に効果的な手法になります。

また、事業の構造理解と行動指針の優先順位付けをおこなうためにも活用できるため、個人単位でもKPIツリーを用いて、具体的なKPIの設定をおこなってみると良いでしょう。

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この記事を書いた人

すべらないキャリア編集部


「ヒトとITのチカラで働く全ての人を幸せにする」というミッションのもと、前向きに働く、一歩先を目指す、ビジネスパーソンの皆さんに役立つ情報を発信します。

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