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「ソーシャルメディアマーケティングにスタンダードを創る」のビジョンを掲げ、SNSマーケティング支援事業を中心に様々な活躍を見せる株式会社ホットリンク。書籍やオウンドメディアなど多方面でコンテンツを発信している同社は、この数年で正社員数が約1.6倍に増えるなど、成長を続けています。
新型コロナウイルス感染症の混乱のなかでは、いちはやく「原則リモートワーク」を導入。2021年12月2日には、社員一人ひとりが安心して働ける環境作りを推進する社内プロジェクト「HOTTO Work Style」を始動するなど、常に働き方のブラッシュアップを続けています。
こうしたホットリンクの成長は、どうやって実現されているのか。人事の松井さんに、背景などを伺いました。
株式会社ホットリンク
松井 豊
YUTAKA MATSUI
コロナ禍にぶち当たったリモートの課題、組織の課題
松井さんがホットリンクに入社した2019年は、組織としてどのようなタイミングだったんですか?
現在は正社員約80名ほどですが、当時は正社員50名ほどの組織規模で、データ分析ツールであるクチコミ@係長の拡販から、本格的にSNSマーケティング支援事業へ注力しはじめるというフェーズでした。 これからまさに組織を拡大していこうというタイミングでしたね。
ホットリンクは上場企業なので、ある程度組織運営に必要な制度は揃っていたと思います。しかし、私が入社したころは運用上のルールがあいまいだったり、働き方も個々に合わせていたりしました。
制度の意図や背景を、理解している人も少なかったので、まずはそれらをどう整理するかから始めましたね。
そんななか、入社約1年でコロナ禍に入ってしまったんですね。
はい。執行役員の間で「出社は難しい」と判断し、4月に一度出社禁止の指示を出しました。その後5〜6月にかけて、原則リモートワークという現行の方針へと移行しています。
リモートワークへの対応は、当時在籍していたメンバーは割とスムーズに移行できたんです。ホットリンクはもともとメンバー間のリアルでの交流が多く、また出社推奨でもあったので、既存メンバーは関係が構築できており、オフィスにいなくてもコミュニケーションがしやすい状態でした。
課題だったのは、後から入るメンバーをどうオンボーディングするか、その制度づくりでした。既存メンバー間でも、リモートワークが続いた結果、つい仕事の話ばかりになり、それ以外のコミュニケーションが減少するという課題がありました。
どうコミュニケーションを生み出すかが、大きな課題でしたね。
コロナ禍での対応とは別に、組織の拡大という大きなテーマではどんな課題がありましたか?
既存メンバーと新メンバーをどうつなげるかが課題でした。今後新しいメンバーが増えていく環境で、リモートを前提としてどういう組織を作ればいいだろうかという、漠然とした不安がありました。
しかし、実際には大きなトラブルやひずみはありませんでした。今思い返すと、採用段階で会社内のコミュニケーションやビジョン、文化とマッチするかをしっかり見ていたことが、功を奏したと思います。
どちらの課題も、コミュニケーションや関係構築が大きな課題だったんですね。
リモートへ移行したタイミングでは、部署間の定例会開催や1on1の実施など、積極的なコミュニケーションを推奨しました。問題が起こる前にコミュニケーションを取ろうというスタンスだったので、クリティカルな状況は起きませんでしたね。
リモートで仕事は進むのか?という疑問に対しては、基本的に性善説に則って考えました。幸い、コロナ禍でSNSの需要が増え、仕事が忙しいという状況でもありました。
「原則リモートワーク」に込めた意味
やや細かいところでもあるんですが、実は「原則リモートワーク」という言葉にも、ちょっと意図があるんです。
え。そうなんですか?
4月に完全出社禁止を出したタイミングで、ホットリンクとしては「いつかは出社に戻せるだろう」という発想を捨てました。
というのも、リモートワークへの移行プロジェクトを動かしていた私や執行役員も含め、折衷案を考えだしたら落としどころが見つからないと感じたんです。週2出社がいいのか週3出社がいいのか、キリがないじゃないですか。
リモートを前提にしたことで、メンバーも「リモートありきで何をすべきか」「オフィスをどう使えばいいか」という話題になりました。
先ほど、ホットリンクはリアルの交流も盛んだとおっしゃっていましたよね。リモートに方針を決めた時、不満の声などはなかったんでしょうか?
あまりなかったです。もともと、特別な事情がある場合にはリモートワークを許可していましたし、新型コロナのインパクトもすごかったですしね。
いざリモートに移行してみると、仕事は回る、皆ちゃんと働いてくれるということが分かりました。
メンバーへの信頼はもちろんありましたが、「リモートでもいける」という実感を得られたのが大きかったですね。
また、”フルリモート”ではなく、あえて”原則リモートワーク”という表現にしました。ここで週1回、出社するんだよという意味合いを持たせたんです。メンバーも方針を受け入れてくれて、「週1回の出社時にはメンバーと話そう」「ミーティングも全てオンラインになるなら、必要な情報は自分から質問しないと」という発想になっていました。
とはいえ、組織が拡大する過程で、原則リモートでの組織運営は簡単ではないと思います。ホットリンク社内の取り組みにおいて、誰が旗振り役になったんでしょうか?
各部の部長、本部長ですね。組織が拡大するなか、実際にメンバーが増えたのはSNSマーケティングの支援事業に携わる部門でした。この部門の新メンバーをどう育成するかが、事業の成長に直結します。
そこを部長陣も理解していたのか、現場で課題感を持って新メンバーの育成に取り組んでいました。人事サイドから研修やオリエンテーションを提案したときは、積極的に取り入れてくれたし、逆に現場サイドから提案されることもありましたね。
人事側はもちろん、現場側が考え行動してくれるのは、非常に重要だと思います。現場での取り組みに対して、人事が運用面で負担を軽減させるよう調整するなど、いい関係性が築けています。
「HOTTO Work Style」の始動
原則リモートワークの方針になり、様々な試行錯誤をする過程で生まれたのが、「HOTTO Work Style」なんですね。昨年12月に、このプロジェクトを発表した背景をうかがえますか?
ホットリンク社内では、様々な取り組みを重ねてきました。それらをまとめて伝えることで、社内により浸透させようという意図があったんです。
広報的観点からも、これを切り口にホットリンクのことを知ってもらいたいと思い、パッケージ化した方が伝えやすいだろうと考えました。
実際にどんな取り組みがあったんでしょうか?
取り組みの6番目にある「ホットランチ」では、希望者を募ってZoomの ブレイクアウトルームを使い、4〜5名ずつのグループに分けて雑談できる空間を用意しました。
とはいえ、雑談してくださいといきなり言われても、何を話せばいいか分からず、参加したメンバーが戸惑うこともあったようです。こちら側である程度テーマを用意したりと工夫したものの、場づくりの難しさを痛感しましたね(笑)。
現在も状況が目まぐるしく変化している(取材時は2022年1月で、全国的に感染者が激増していた)ので、様子をみつつやり方も改善しながら、どうやって開催するか考えています。
あと、ここには載せていないですが「社内報ライブ」というのも行いました。
社内報ライブ?
ホットリンクには社内報を作成するチームがいるんですが、テキストではなくライブの形式で、お昼に約1時間のライブ配信をしたんですね。
ライブは人事と社内報チームが主導で進めて、バリューの話や子育て、リファラル採用などテーマを決め、ラジオのような配信をしました。
参加者は自由にコメントや質問ができ、それをニコニコ動画のようにスクリーン上に表示されるようにしたんですね。
参加者からの反応もよくて、この配信やコメントがきっかけで雑談が生まれたという声もありました。メンバーの約95%が参加しました。
すごい参加率の高さですね。実際にプロジェクトを発表して、社内外からの反応はどうですか?
メンバーと働き方に関する面談を行うとき、すごく応えやすくなりました。
採用広報においても、HPに掲載している働き方・制度といった情報をアップデートできました。原則リモートワークという点も、今後の求職者の方々には刺さるワードかなと。
2022年も採用は引き続き強化していくので、先駆けて12月に発表できたのはいい流れでしたね。
貢献、支援の手段がSNSマーケティング
リモートへの移行がスムーズだった要因に、採用でしっかり会社のカルチャーと合うかを見ていたという話がありましたよね。ホットリンクの採用で、特に重視していることはなんでしょうか?
組織としてはもちろん私自身も大事にしているのは、「なぜ働くのか」「何のために働くのか」という観点です。
ホットリンクは支援会社です。そのため、クライアントを支援したい、貢献したいという思いがあるかどうかは、本当に重要だと思います。
そこにやりがいを感じられるのなら、支援先の市場や業界、クライアントが次々と変化しても、それを受け入れつつ「自分には何ができるか」を考えられるのかなと。
ホットリンクは「ソーシャルメディアマーケティングにスタンダードを創る」というビジョンで、市場やクライアントに貢献したいという思いがとても強い会社です。なので、外側にベクトルが向いていることは不可欠です。
クライアントへの支援や貢献に尽力した結果、振り返ると自分がものすごく成長したという実感も得られると思います。
なるほど。…実はちょっと意外な回答でした。ホットリンクが求める人材像として、マーケティングやSNSに関する専門性が高く、自分軸でそれらを極めていきたい人だと思っていたので。
私たちはよく「ホットリンクにとって、SNSマーケティングはクライアントの売上をあげる手段のひとつ」と話しています。クライアントへの貢献になるのなら、SNSマーケティングから事業を転換させる可能性もあるでしょう。
たとえ別の手段になったとしても、そこに対応できる人が弊社に合うと思います。
とはいえ、好奇心が強い、研究熱心、学習意欲が高いなどはもちろん重要です。ホットリンクのメンバーはとにかくこれらが旺盛で、好きなモノを見つけたら即行動に移します。
うちのマーケティング本部長にムロヤという者がいるんですが、彼にはよく「フッ軽(フットワークを軽く)ですよ松井さん!」と言われるんです(笑)。
僕は腰が重いタイプなので、いつもすごいなと眺めています(笑)。
メンバーに共通していることは、皆一つのことをやり切った・突き詰めたという経験があることですね。
そこに貢献したいという思いがあるわけです。皆「本質的に何が大事か」を考え続けているので、手法が変わってもその熱意や行動力の転用が効くのだと思います。
単にSNSが好きなだけだと、ホットリンクに入社しても「思っていたのと違う」と感じるかもしれませんね。
「最近なんとなくSNSが流行っているからやってみようかな」だと、厳しいかもしれないわけですね。
ホットリンクのバリューのひとつに「Focus on essence - 本質を貫く」というものがあります。
自分の中でなぜ働くのかという軸がちゃんとあり、客観視できること。ホットリンクや他社さんを比較して「この会社のいいところはここだな」「自分はこの会社に合うな」と十分に吟味する方が、うちにはマッチすると思います。
実際、メンバーは皆ビジネススキルが高いです。常に課題は何かを考えてコミュニケーションをしているので、すごくコンサルタント的だなと思います。
こうした姿勢を貫いて、本質的に何が大事かを一番考えているのは、やはり経営陣だと思います。経営陣が物事の本質や優先順位、課題を解決したインパクトを常に考えています。
課題の追求や本質を求める姿勢が、経営陣からメンバーにまで浸透しているんですね。最後なんですが、松井さんにとって、ホットリンクの好きなところはどこですか?
「人をちゃんと見ている」ところです。それと、繰り返しになりますが、本質が何かを考え続ける姿勢も、ホットリンクの好きなところですね。
市場やクライアントの課題を最優先に考え、皆でそれを解決しようと頑張っている姿は、素敵だなと思います。
人との関係性においても、感情的な部分を大事にしながらもロジカルに考え、適切なアプローチを取っているのも好きです。
人にただ優しく接するのではなく、メンバーそれぞれの課題を把握して、ちゃんと向き合う。だからこそ、メンバーもどんどん成長しているのだと思います。
その上で、メンバーが「やりたい」と声を上げたら、背中を押すこともできる。そうした環境がある会社ですね。
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この記事を書いた人
すべらないキャリア編集部
「ヒトとITのチカラで働く全ての人を幸せにする」というミッションのもと、前向きに働く、一歩先を目指す、ビジネスパーソンの皆さんに役立つ情報を発信します。