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企業が目標を達成するために必要不可欠なKPIですが、最近では部署やチーム内、ビジネスマン個人の目標設定にも活用されています。
KPIをしっかりと理解しておくことで、目標達成率を高めたり、さらに高次元の目標へチャレンジすることが可能です。
今回は、KPIの意味や基本的な効果を解説するとともに、最適なKPIの設定方法や運用のコツを紹介します。
そもそもKPIとはなにか
KPIとは、「Key Performance Indicator」の略称で、「重要業績評価指標」プロセスが適切に実行されているかどうかを測るものさしのことです。
もう少し簡単に言えば、目的(ゴール)を達成するための細かい目標を指します。
例えば、KPIとして「1ヶ月の受注件数100件」の目標を設定したとしましょう。
もし100件の目標が達成できれば、売上高の増加といった最終的な目的までクリアできる可能性が高まります。
よって、最終目的を達成するためには、まずKPIで細かい目標を設定しておくことが大切です。
ここからは、KPIをさらに詳しく理解するため、KPIを設定するメリットやKGI、KSFとの違いについてお伝えしていきます。
KPIを設定するメリット
KPIを設定するメリットは、主に次の4つです。
- 行動が明確になる
- 目標達成のプロセスを可視化できる
- 早期の問題解決が可能になる
- 組織全体の能力が向上する
KPIを設定しておくだけで、今までの業務効率が改善されるほか、目標を達成することで社内での評価も高まります。
KPIのメリットをしっかりと理解し、有効に活用できるようにしましょう。
1. 行動が明確になる
KPIで設定する細かい指標は非常に具体的で、目的達成のために何をすればよいのかが明確になります。
キャリアが浅いうちは重要な業務を見分けることが困難です。しかし、KPIを設定しておくことで、どの業務に集中して取り組むべきかが一目でわかります。
2. 目標達成のプロセスを可視化できる
KPIを設定すると、目標達成までのプロセスが可視化でき、仕事のスムーズ化や業務効率の改善に役立ちます。
例えば、KPIに「1ヶ月の新規受注件数10件」の目標を設定したとします。
そうすると、10件の受注をとるために〇件の新規顧客にアプローチして、そこから〇件の商談を実施しなくてはいけない、という具体的な行動目標を立てることができます。
「10件」という具体的な指標があることで、具体的な行動件数を立てることができ、その行動件数を実施するための業務効率化という具体的なアイディアが出てきます。
上記のように、KPIで設定した目標からさかのぼって、「具体的に何をすべきか」と考えていくことで明確なプロセスができあがります。
3. 早期の問題解決が可能になる
KPIを設定しておけば、目標が達成できない場合に早期解決をはかれます。KPIによって目標が具体化されているため、事後検証を行いやすいからです。
仮に「1ヶ月の受注件数10件」のKPIが達成できなかった場合、今度は顧客へのアプローチ方法を修正したり、商談設定率や受注率の歩留まりを改善するなどの手段がとれます。
具体的な指標があるため、目標未達の原因を探りやすいということです。
4. 組織全体の能力が向上する
KPIは、組織全体の能力向上に役立ちます。
一般的にKPIは部署やチーム単位で採用されます。
一つの部署で共通のKPIを設定しておくと、メンバーそれぞれのやるべきことが明確になり、目標を達成するためのプロセスを共有できます。
その結果、チーム内で意思統一ができ、メンバーのモチベーションや意識の向上へとつながるでしょう。
KPIとKGI、KSFとの違いや関係性
KPIとよく似た言葉に、KGIとKSFがあります。
どちらも目標を達成するための重要な指標となるため、以下でそれぞれの違いをしっかりと理解しておきましょう。
KGIとは
KGIとは、「Key Goal Indicator」の略称で、「重要目標達成指標」を表します。
簡単にいえば「最終ゴール」を表す指標のことです。
数値で表せる企業の最終ゴールといえば「売上」ではないでしょうか。
KGIとして「売上1億円」を設定したとすると、今度は「売上1億円を達成するためのKPI(受注件数〇〇件獲得など)」を考えていきます。
つまり、KGIは最終ゴール、KPIはそのゴールを達成するための目標という点が両者の違いです。
KSFとは
KSFとは、「Key Success Factor」の略称で、「重要成功要因」とも呼ばれます。
KPIが最終ゴール(KGI)を達成するための目標なのであれば、KSFはその目標を達成するための「手段」と言い換えることもできます。
KPIには、「受注件数10件獲得」や「資料請求件数を10%増やす」というように、必ず指標となる具体的な数字を設定します。
一方で、KSFの場合には具体的な数字は用いません。
受注件数10件を達成するために「インサイドセールスを導入する」、資料請求件数を10%増やすために「パンフレットの内容を見直す」など、抽象的なアクション(手段)がKSFの指標となります。
3つの指標の関係性
KPI、KGI、KSFの3つの指標は、いずれか1つでも欠けていると最終目的が達成できません。
3つの指標を順に並べてみると、それぞれの関係性がわかりやすくなります。
- KGI:最終ゴール
- KPI:KGIを達成するための具体的な目標
- KSF:KPIを達成するための手段
そして、上記3つの指標は以下のような関係性と言い換えることができます。
- KGI:KPIを達成しなければ成立しない最終ゴール
- KPI:KSFが決定しなければ達成できない目標
- KSF:KGIとKPIを達成するための手段
つまり、3つの指標のうち1つでも欠ければ関係が成立しないということです。
KPIを設定するときは単独で用いるのではなく、KGIとKSFをセットで設定しましょう。
KGI・KSF・KPIの順に指標を設定する
どれだけ高い目標を掲げても、具体的に何を行えば良いのかわからなければ達成はできません。
以下で説明する順番で各指標を設定していきましょう。
手順(1)KGIの設定
目標を立てるときに最初に着手すべきなのは、KGIです。
私たちが普段どこかへ出かけるときも、最初に目的地(ゴール)を決めなければ行き先に迷います。
同様に、目標設定の場合もまずはゴールの設定から始めることが大切です。
会社にとっての最終的なゴールは、売上高の増加です。
とはいえ、チームでKGIを設定するときは「営業メンバーのノルマ達成率を90%にする」や、個人の場合は「自分の顧客の満足度を20%高める」など、目標を設定するケースによって指標が異なってきます。
いずれにせよ、より具体的で数値化できる目標を設定することがポイントです。
手順(2)KSFの設定
KGIが決まったら、おのずとKSFの指標も見えてきます。
例えば、KGIが「Webサイトの会員数を1万人増やす」だとしましょう。
会員数を増やすには、「魅力的なコンテンツを用意する」「広告を出稿する」「サンプル提供により行動喚起につなげる」といったプロセスが想定されます。
上記プロセスの各要素はいずれもKSFとして設定でき、なおかつ数値化してKPIとしても活用できます。
手順(3)KPIの設定
KSFを具体的な数値に落とし込んでいきます。
先ほどの例をもとに考えていきましょう。
- KSF「魅力的なコンテンツを用意する」
→KPI「Web記事を100記事投稿する」 - KSF「広告を出稿する」
→KPI「CTR(広告クリック率)を5%に高める」 - KSF「サンプル提供により行動喚起」
→KPI「CVR(成約率)を2%に高める」
上記の通り、KSFとして設定した指標は数値化することでKPIに活用できます。
ただし、KPIを設定したからといって必ずしも目標が達成できるわけではありません。
目標達成の精度がより高まるよう、定期的に結果を検証することが大切です。
目標が達成できないときは、各指標のどこに問題があるのかをデータから検証しましょう。
KGIやKPIを数値化する理由は、プロジェクト稼働後に客観的なデータとして検証するためです。
KPIの設計・運用のコツ
最後に、より効率的で適切なKPIを設計・運用するためのコツについて解説していきます。
ポイントは以下の3つです。
- 設計をシンプルにする
- 評価を明確にする
- ITツールを活用する
1. 設計をシンプルにする
1つ目のポイントは、「誰が見てもわかりやすいKPI」を設計することです。
KPIの設計をシンプルにすることで追うべき目標が明確になり、チーム内の混乱を回避できます。
シンプルでわかりやすいKPIを設定するために、以下5つの単語の頭文字から形成された、SMARTのフレームワークが有効です。
- Specific:具体的な
- Measurable:計測可能な
- Achievable:達成可能な
- Relevant:適切な
- Time-bounded:期限を定めた
上記5つを意識してKPIを設定することで指標がより具体化し、部署やチーム内で共有しやすくなります。個人の場合でも、SMARTモデルを活用したほうが目標の達成により近付きます。
2. 評価を明確にする
あらかじめKPIの評価を明確にしておくことで、次の段階でどのように行動すべきかがわかりやすくなります。
プロジェクトが進行するにつれ、徐々にKPIの測定結果も溜まってきます。測定結果をどのように評価するか、事前にシステムを体系化しておきましょう。
KPIの評価システムは、3~5段階で可視化することが一般的です。
評価が基準点を下回る場合、KSFのアクションを変えるなどの対策が取れます。
また、合わせてKPIの妥当性についても定期的に見直すことが肝要です。
KGIと関係しないKPIを設定しても効果がないため、運用の中で、「KGIに対して適切なKPIになっていないかも…」という場合は、思い切って指標を変更することも検討しましょう。
3. ITツールを活用する
KPIを効率的に運用するには、ITツールの活用が欠かせません。
特にCRM(顧客関係管理システム)やSFA(営業支援システム)は、目標数値の管理や検証に便利です。
CRMやSFAには、営業活動のあらゆるデータが蓄積されます。
KGIやKPIとして設定する各指標の選定に役立つほか、蓄積したデータから事後検証を行うこともできます。
検証後に各指標の修正を行い、さらに検証と改善(PDCA)を繰り返すことで、目標達成率の向上と高次元の目標設定へとつながるでしょう。
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この記事を書いた人
すべらないキャリア編集部
「ヒトとITのチカラで働く全ての人を幸せにする」というミッションのもと、前向きに働く、一歩先を目指す、ビジネスパーソンの皆さんに役立つ情報を発信します。