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末永
このメタ認知能力が高い人は自分自身を正確に理解することができるため、問題解決能力が高く、仕事を効率よく進めることができます。
そのため、「メタ認知能力」が高ければ人事評価を上げることにもつながり、成果やステップアップのために役立てることができるでしょう。
では、「メタ認知能力」はどのようにすれば、高めていけるのでしょうか?
本記事では、「メタ認知能力」を理解して、高めていくために必要なポイントやトレーニング方法について詳しく解説していきます。
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メタ認知とは
メタ認知能力とは、自分の認知したことを客観的に認知する能力のことを指します。
例えば、自分が何かに対して喜んだり、怒ったりしていることを、
「自分は目標を達成できて今喜んでいるんだ」
「相手にバカにされたことに対して怒っているんだ」
と自分自身の状態を客観的に捉えて理解することが「メタ認知」です。
学術的に、「メタ」は「高次の」という意味で、認知とは「思考・判断・行動・記憶」を指します。
そして、「メタ認知能力」がある人は、「思考・判断・行動・記憶」など、自分自身に起きている出来事を客観的に認識し、冷静に判断して問題解決ができるのです。
末永
「メタ認知能力」は、ビジネスの場面でも非常に重要なスキルとして考えられており、メタ認知能力を高めていくことで、自分のことを正しく認識して行動することができるようになります。
2つのメタ認知能力
メタ認知には「メタ認知的知識」と「メタ認知的技能」という、2つのメタ認知があります。
では、2つのメタ認知能力にはどのような特徴や違いがあるのでしょうか?
それぞれ解説していきます。
メタ認知的知識
「メタ認知的知識」とは、「人」「課題」「方略」といった、メタ認知に関わる知識のことです。
このメタ認知的知識について把握していることで、物事を客観的に「認識」するために役立ちます。
では、メタ認知的知識とは具体的にどのようなものなのでしょうか?
「人」に関わる知識
「人としての認知特性」に関連する知識のことを指します。
「一般的な人間の認知特性」や「自分自身の認知特性」にはどのようなものがあるのかというものです。
例えば、
- 一般的な人間の認知特性:「人の集中力は続かないので適度な休憩が必要」
- 自分自身の認知特性:「他の人に比べて、記憶力は高いほうだ」
上記のようなものが挙げられるでしょう。
この「人に関わる認知特性」を正確に把握していることで、「一般的な人」 と 「自分自身」の認知特性にどのような違いがあるかを把握しやすくなります。
「課題」に関わる知識
「課題」そのものが抱えている特性に関する知識のことを指します。
具体的には、
- 長時間にわたる単純作業は、ミスを誘発しやすい
- 抽象的な議論は論点が曖昧になりやすい
といったものが挙げられるでしょう。
「課題自体が抱える特性にはどのようなものがあるか」を理解することで、課題の原因を把握しやすくなり、処理能力を早めることにつながります。
「方略」に関わる知識
「課題」を解決するための具体的な方法に関する知識です。
例えば、
- 物事の理解を促すためには図解を用いるのが有効
- 具体的な例を用いた説明のほうが覚えやすい
というような、課題を解決するための知識が挙げられます。
また、ビジネスの場における参考例としては、
- ミスが起こりやすいという課題は、システムを導入して自動化することで大体は改善される
- 頼まれたことを忘れてしまう場合には、リマインド設定をすることで緩和できる
このような、具体的な課題解決に有効な手段に関する知識も「方略」に関わる知識といえるでしょう。
メタ認知的技能
「メタ認知的技能」とは、メタ認知をするために必要な技能のことを指し、「メタ認知的モニタリング」「メタ認知的コントロール」の2つに分かれています。
この2つは、メタ認知をおこなうために必須の技術なので、詳しくみていきましょう。
メタ認知的モニタリング
メタ認知的モニタリングは、自分の認知を客観的にモニタリング(監視)することです。
- 適切に認知できているか
- メタ認知的知識に当てはまる事象か
- 認知に対してどのように対応すべきか
などの、メタ認知を正確に把握して意思決定していくために重要な技術になります。
メタ認知的コントロール
メタ認知的コントロールは、モニタリングを通して得ることができた情報を参考に、認知に対する対応を制御し実行するための技術です。
例えば、以下のようなものですね。
- 集中力が持続しないのであれば、休憩をせよ
- ストレスが溜まっているのであれば、運動で発散せよ
「メタ認知的知識の情報 」と「メタ認知的モニタリングの情報」を参考に、自分がやるべきことを認識して行動の選択をしていきます。
メタ認知能力の高い人・低い人の特徴とは
では、メタ認知能力が高い人や低い人にはどのような特徴があるのでしょうか?
本項では、メタ認知能力が高い人と低い人の特徴について紹介していきます。
メタ認知能力が高い人の特徴
メタ認知能力が高い人の特徴は以下の5つです。
- 自分の考えや行動を冷静に分析できる
- 観察力が高く周りへの配慮ができる
- 柔軟性が高く一つのことに固執しない
- 自分の長所や短所などの特性を把握できている
- 本能的な部分と理性な部分を認識した上で把握して行動の選択ができる
メタ認知能力が高い人は、自分自身を客観的に見ることができているため、自分の「思考」「判断」「行動」「記憶」などを正確に把握できているのが特徴でしょう。
その上で、「自分の行動が他者に与える影響」「価値観の違いを受け入れる姿勢の大切さ」を理解して、行動の選択をしています。
末永
自分自身の行動原理やどのような意図を持って行動したのかを認識しているため、「なんとなく」ではなく、明確な意思をもって行動することができるのです。
メタ認知能力が低い人の特徴
一方、メタ認知能力が低い人の特徴は以下の5つです。
- 感情的な発言や行動をしてしまう
- 自己中心的な行動が多く協調性がない
- 自分の価値観でしか物事を判断できない
- 同じミスを何度も繰り返してしまう
- 自分の言動の原因がわからない
メタ認知能力が低い人は、「主観」でしか物事を捉えることができずに、自分本位な行動が目立ちます。
また、行動に対して原因がわからないままで過ごしているため、同じミスを何度も繰り返したり、感情的な言動が目立ち、冷静な判断ができない場合も多いです。
末永
結果として、「自分勝手な行動から人間関係が上手くいかない」「仕事でミスを繰り返し信用を失ってしまう」というような、人間関係や仕事にマイナスの影響を及ぼす可能性もあります。
メタ認知能力を高める4つのメリット
メタ認知は、ビジネスシーンだけではなく、日常生活でも活かすことができるため、身につけて損はありません。
では、メタ認知能力を高めることでどのようなメリットがあるのでしょうか?
本項では、メタ認知能力を高めるメリットについて紹介していきます。
1. 人間関係構築がスムーズになる
自分の発言や行動を客観視するための「メタ認知能力」を高めることで、人間関係構築をスムーズになります。
メタ認知を高めていくことで、
- 相手を不快にさせる言動はなかったか
- あの時どうすればもっと良い結果になったか
- 自分本位で相手に迷惑をかけていないか
など、普段の行動を客観的に見直すことができ、情報として蓄積していくことができます。
そのため、とっさの場面でも「自分の行動が相手に与える影響」や「相手がどのように感じているのか」を機敏に察知した上で、適切な行動の選択ができるようになります。
結果として、相手と程よい距離感や接し方をすることができるため、人間関係の構築がしやすくなるのです。
2. 仕事の処理能力が上がる
メタ認知能力を高めることで、自身の特性や状況に合わせて優先順位付けができるようになるため、仕事の処理能力が向上します。
具体的には、以下の通りです。
- ミスがあった場合には、客観的に原因を分析してすばやく改善する
- 計画を立てる際には、自分の特性や周りの状況を加味して予定を組む
- 自分にとって効率が悪いと感じたら、積極的に効率化を図っていく
その他にも、客観的に状況分析をおこなったり、自身の特性を理解した上で適切な仕事の進め方を取り入れてたりしていることも多いです。
結果的に、「自分が仕事をしやすい状況」を作り出すのが上手く、他者よりも早く仕事をこなすことができるようになります。
3. 変化に柔軟に対応できる
メタ認知能力を高めることで、変化にも柔軟に対応できるようになります。
仕事やプライベートにおいて変化はつきものですが、メタ認知を高めることができれば変化に対する認識を客観的に捉えることができるでしょう。
- 変化に対して自分がどのように感じているのか
- 変化を受け入れることで自分にとってどのようなメリットがあるのか
- 変化に対してどのようにして適応していくのか
このように、変化に対する自身の心情や行動の分析をすることができるため、柔軟さと対応力を高めることにもつながるのです。
変化に柔軟に適応できるようになることで、新しいことへ積極的にチャレンジして成長することもできるため、大きなメリットといえるでしょう。
4. 自己成長力が高まる
メタ認知能力を高めることで、客観的に自分のことを分析して適切な対応をすることができるようになります。
以下に、分析の例を挙げています。
- 自分の得意・不得意にはどのようなものがあるのか
- 自分が何を求めているのか、これからどうしていきたいのか
- 自分の成長のために何が必要でどのように取り入れていくべきか
自分の特性や言動を見直し、客観的に把握した上で、足りない部分を補い成長する。
普段から、自分自身を理解した上で、これからの行動を取捨選択していくことができるため、迷うことなくこれから進むべき道を見つけることができるのです。
メタ認知能力を高める3つのポイント
メタ認知能力は、努力次第で誰でも高めることができます。
しかし、メタ認知能力を高めるためには、以下のポイントを踏まえてトレーニングをしていく必要があります。
1. 客観的に自分の行動を分析する
メタ認知能力を高めるためには、自己分析によって客観的に自分の行動を分析する必要があります。
また、その時に重要なのが「主観と客観を正しく理解する」ということです。
- 主観:立場や状況によって見方が変わってしまう意見や考え方
- 客観:自分以外の人の誰が見ても納得できる意見や考え方
自分自身で自己分析する際には、一人でおこなうことも多いため、完全に客観的に分析するのは少し難しいかもしれません。
末永
一人で自己分析をおこなうのが難しい人におすすめなのがマジキャリです。
マジキャリは専属のキャリアのプロがマンツーマンで自己分析をおこない、あなたの強みや人柄を客観的な視点から教えてくれます。
一人で自己分析をしたがわからなかった人は是非一度相談してみてください。
2. 自問自答を繰り返して掘り下げる
メタ認知能力を高めるためには、表面的な部分ではなく、もっと深いところにある根本的な原因を掘り下げていくことが重要です。
例えば、
- なぜあの時に〇〇ような行動をしたのか
- その時にはどのような感情だったのか
- 他に要因となることはあったかどうか
- 本来であればどのような行動が望ましかったのか
- 同じ状況になった時に注意しなければいけないことはないか
上記のような問いかけですね。
自問自答をする際には、一つの出来事に対して複数の視点から疑問を投げかけていくことがポイントです。
そして、日常的に自問自答をすることができれば、想定外の出来事があった時にもすぐに周りの状況や自分の考えを分析して対応することができるようになるため冷静な判断ができるようになります。
結果的に、メタ認知能力を高めることにつながるので、積極的に自問自答をする癖をつけるようにしてみましょう。
3. メタ認知をしやすい状況を作る
メタ認知能力を高めるためには、自分自身がメタ認知しやすい状況を積極的に作っていくことが大切です。
- 文字として書き起こしてみる
- 誰かと話をして認識を整理する
- アドバイスをもらって客観的な視点を取り入れる
メタ認知を高める行動は、必ずしも一人でおこなわなければいけないことではありません。
なので、第三者の力を借りて情報を整理したり、客観的な視点を取り入れることで、一人で分析するよりも効率的にメタ認知能力を高めることができるでしょう。
メタ認知能力の鍛え方・トレーニング方法3選
では、具体的にメタ認知能力を高めるために有効な方法について紹介していきましょう。
今回、紹介するのは以下の3つのトレーニング方法です。
セルフモニタリング
「自分のことを客観視して言動や思考を分析・評価すること」を「セルフモニタリング」といいます。
セルフモニタリングを通して身につけることができるのが、「自分を客観的・俯瞰的に見る能力」です。
過去の自分の行動を分析・評価することで、自分の課題が明確になり、具体的な解決策を講じることができるようになるでしょう。
- 日記などを用いて日々の行動を記録する
- 記録した情報を参考に、当時の「感情」「思考」「認識」を箇条書きで書き出す
- 書き出した情報を客観的に分析・評価する
- 評価を元に行動方針や対処法を抽出する
セルフモニタリングの4ステップ
セルフモニタリングにおいて一番大切なのが、情報を記録しておくことです。
なので、まずは日記などを通して自分自身の行動を記録しておく習慣をつけるようにしましょう。
瞑想
瞑想は、脳を休ませストレスの軽減や集中力の向上のために有効な手法ですが、ここでは瞑想を通して自分自身と向き合う機会を作ることを目的としています。
セルフモニタリングは、過去の情報を参考に手を動かして分析を行っていきますが、時に情報量が増えすぎて複雑に考えてしてしまうこともあるでしょう。
しかし、瞑想の場合は「想起された思考に没頭する」ことができるため、自分の思考のパターンを認識して、認知の歪みに気づきやすくなります。
自分と向き合って思考を掘り下げていくために瞑想を習慣化することで、メタ認知能力を高めることにつながるので積極的に取り入れてみてください。
- 瞑想をするときは、リラックスした姿勢で目を瞑り、深呼吸をして姿勢を正す
- 瞑想中の時の呼吸は、鼻で呼吸をして腹式呼吸を意識する
- 瞑想中はできる限り、呼吸に集中して意識が逸れたら再度呼吸を意識する
- 瞑想に慣れてきたら、湧き上がる思考や感情に意識を向けて受け入れる
Point
フリーライティング
セルフモニタリングとは関係なく、自分の考えや日々の行動を書き起こすことで、思考が可視化され課題や欠点をより把握しやすくなります。
そのため、セルフモニタリングをおこなわない場合でも、日記をつける習慣をつけるようにしましょう。
はじめは、難しく考えずに1行だけでも構いません。
ある程度、日記をつける習慣がついてきたら、10〜20分の時間をとって集中して思ったことを書き起こしていきます。
そして、「自分が今抱えている不安や悩み」「興味があって挑戦してみたいこと」「その日あった出来事に対する見解」などさまざまな視点で書いてみましょう。
日記を通して、自分自身の考えを整理するとともに、自分の感情や思考に気づくことができ、メタ認知能力を向上させることにつながります。
メタ認知能力アップにおすすめの書籍3選
最後に、メタ認知能力を向上させるためにオススメの書籍を3つご紹介します。
メタ思考トレーニング 発想力が飛躍的にアップする34問
メタ思考を実践するための二つの具体的な思考法「Why型思考」と「アナロジー思考」の紹介されています。
また演習問題も含まれ実践的なトレーニングができる1冊です。
自分の小さな「箱」から脱出する方法
自分が箱のなかにいると仮定し、思い込みや、自分の考え方の誤りに気づき改善し、「箱」から脱出する方法が書かれています。
とくに人間関係を向上したい人におすすめの1冊です。
ムダに悩まない理想の自分になれる 超客観力
メンタリストDaiGoの著書で、自分を客観視することの重要性が説かれています。
価値観リストのチェックでは、自分が何に価値を感じているのか、自分が大切にしたいものが明確化できると口コミでも評判です。
まとめ
ここまで説明した通り、メタ認知には仕事の上で様々なメリットがあります。
しかしメタ認知は自分のことを客観的に見る必要があるため一人でおこなうのは難しいでしょう。
もし、一人でおこなうのが難しい場合はマジキャリを利用してみてください。
マジキャリはキャリアのプロと一緒に自己分析をおこなうため、客観的な視点からあなたの強みや人柄を知ることができます。
そのため、やりたいことがわからなかったり、自分に向いている仕事に就きたいと思っている人におすすめです。
初回相談は無料なので気軽に問い合わせてみてください。
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この記事を書いた人
すべらないキャリア編集部
「ヒトとITのチカラで働く全ての人を幸せにする」というミッションのもと、前向きに働く、一歩先を目指す、ビジネスパーソンの皆さんに役立つ情報を発信します。
社会人にとって重要な能力として注目されているのが、自分自身の考えや行動を客観的に認識して理解する「メタ認知能力」です。