目次
成長のためには、反省や振り返りがつきもの。KPTを用いると、効率的で正しい振り返りができると様々なビジネスシーンで用いられています。
では、KPTとはどのようなフレームワークなのでしょうか。KPTの進め方や上手に運用するポイントを紹介します。
KPTとは
KPTは、振り返りのために使用されるフレームワークで、「Problem」「Keep」「Try」の頭文字をとって「KPT」と呼ばれています。
もともとはシステム開発の世界で使われており、アリスター・コーバーン氏によって発案され業務改善のために使用されるようになりました。
「Problem(問題)=悪かったこと」「Keep(継続)=よかったこと」「Try(挑戦)=次に挑戦すること」に分けて、業務の振り返りを行います。
YWTとの違い
KPT同様振り返りのフレームワークとして活用されるYWTは、「Y:やったこと」「W:分かったこと」「T:次にやること」の3項目で振り返りを行います。
KPIは業務内容や目標、改善点などを振り返るものなのに対し、YWTは経験や学びに重点をおいた振り返りのフレームワークです。
KPTなどを用いたフレームワークによる振り返りに慣れた人は、YWTを活用しやすいですが、初心者のうちはKPTを用いるようにしましょう。
KPTのメリットとデメリット
KPTを行うにあたり、メリットとデメリットが存在します。KPTのメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。
メリット1|問題の可視化
最大のメリットは、問題を可視化できることで、「Problem(問題)」「Keep(継続)」「Try(挑戦)」を書き出し、様々な角度から振り返りをアウトプットできるため、問題も見つけやすく、整理しやすくなるというメリットがあります。
メリット2|モチベーション向上
もう1つのメリットは、モチベーションの向上に繋がることです。
普通振り返りを行えば、悪い点に目が行きやすくなり、モチベーションが低下してしまいます。
しかし、このフレームワークは「Keep(継続)=よかったこと」と「Try(挑戦)=次に挑戦すること」で、プラスポイントも振り返りを行うため、モチベーションの維持に繋がるだけでなく、改善のために行うことがイメージしやすくなるため、成果に繋がりやすくなります。
メリット3|チームの目的共有
「Problem(問題)」「Keep(継続)」「Try(挑戦)」の3項目に関して、可視化できるため、目的をチームに共有しやすいメリットがあります。
また、一目で問題と現状、次の行動が把握できるため、解決策を立てやすく、行動に移しやすくなります。
デメリット1|「Keep」が疎かになる
KPTでの振り返りを行う場合、「Problem(問題)=悪かったこと」に重点を置くあまり、「Keep(継続)=よかったこと」がおろそかになるケースが少なくありません。
また、「Problem」が批判的な意見になるとチームのモチベーション低下に繋がるおそれがあります。
デメリット2|マイナスからプラスへの意識が強まる
KPTを振り返りのフレームワークではなく、問題解決フレームワークと勘違いして捉え、マイナスをプラスに転じるようと考える傾向があります。
振り返りでは、問題を解決することも大事ですが、KPTのフレームワークでは、プラスをよりプラスへという思考が重要となります。
問題解決を重要しすることで、振り返りの目的を逸脱し振り返りの効果が弱くなり、成長がしにくくなるデメリットがあります。
KPTを進めるのに良い環境とは
KPTやプロジェクト単位のメンバーや、個人においても振り返りのフレームワークとして活用することができます。
個人的には日々、「Problem(問題)」「Keep(継続)」「Try(挑戦)」を書き出していくことで振り返りができますが、チームで行う場合はどのようにすれば良いのでしょうか。
チームで、KPTを効率的に進めるには、環境を整える必要があるのです。KPTを進めるのに適切な環境をご紹介します。
その1|タイミング
KPTで振り返りを行うタイミングは、プロジェクトがひと段落した直後が効果的です。
プロジェクトの区切りのタイミングであれば、記憶が新しく、細部まで覚えている状態で振り返りを行うことができます。
チームの方向性を確認し、軌道修正するためにも、振り返りはチームで定期的に行い、短いスパンで行いようにしましょう。
その2|人数
KPTを進めるには、チーム単位で行うと効果的です。
しかし、参加人数が多すぎる場合、時間がかかってしまうため、1時間ほどの所要時間で終わる人数、約6名程度を想定して進めると良いでしょう。
もし、プロジェクトメンバーが多い場合、代表者がメンバーの意見を集約し、代表者のみの会議にするなど工夫するようにしましょう。
その3|形式
KPTは、基本的にはミーティング形式で行います。
皆の意見を出しながらホワイトボードに書く、付箋に書いて壁にはるなどしてミーティングを進行して行きましょう。
また、最近では、ITツールを有効活用できるため、リモートで画面共有しすり合わせを行う、システムで情報共有を行うなどのスタイルも一般的になっています。
KPTの進め方とは
KPIを使った振り返りは、実際にどのように進めて行けば良いのでしょうか。フレームワークを用いた進め方をの手順をご紹介します。
ステップ1|「Keep」「Problem」「Try」の3つのセクション
まずは、ホワイトボードや共有画面などに1辺を重ねた長方形を2つ描き、片側だけ横線で分割、「Keep」「Problem」「Try」の3つのセクションを作ります。
この時、より多くの意見を求める「Try」の枠を一番大きくするようにしましょう。
ステップ2|「Keep」の欄に上手くいったことを書く
「Keep(継続)=よかったこと」をはじめに洗い出し、今後も継続していくことを書き出していきます。
チームで振り返りを行う場合は、「Keep」は個別で洗い出し、1人づつ発表していくスタイルをとると、ミーティングを円滑に進めることができます。
ステップ3|「Problem」の欄に課題・問題点を書く
次に、「Problem(問題)=悪かったこと」問題と課題を洗い出していきます。
「Problem」も「Keep」同様、まずは個人で洗い出し、その後、チームで共有した方がスムーズなミーティングとなるでしょう。
ステップ4|「Try」の欄に解決策を書く
これまで話あった「Problem」や「Keep」を元に、「Try(挑戦すること)」解決策、今後やるべきことについてチームでディスカッションを行います。決定したことは、表に書き出すようにしましょう。
ステップ5|「Keep」「Problem」「Try」を再考し整理する
3セクションの洗い出しが終わったら、再度表を見直し、整理するようにします。
「Try」は実現できなければ意味がないため、希望的観測になっていないかなどを、チームで再考しましょう。
出来上がったら、表をチーム全員に共有するようにしましょう。
ステップ6|2回目以降
2回目以降の振り返りでは、前回使用した表を引き続き使用するようにします。「Try」で実践できたものは「Keep」へ、不要となったものは削除するなど、表を再度ブラッシュアップし、表を更新していくようにし、それを繰り返し行います。
KPTをうまく進めるポイントとは
KPTをすることで、かえってモチベーションの低下を誘発してしまい、失敗に終わるケースも少なくありません。では、KPTを上手く進めるにはどのようなポイントを抑えられば良いのでしょうか。
その1|進行役をおく
チームでディスカッションを行う場合、進行役をおくようにしましょう。
進行役には、タイムスケージュールに沿った進行をしてもらい、意見が出やすくなるように促す役割を持ってもらいます。
また、反論や異論が出てこない場合などには、あえて反論する時間を作るなど、ミーティングの内容も色濃くなりやすく、効率的にミーティングを進めることができます。
その2|シンプルを意識する
KPTのミーティングでは、シンプルを意識するようにしましょう。
細部まで具体的に決めてしまうよりも、今必要なことを「Try」で決めておくことで、現状に応じた新しい課題も発生しやすくなり、問題解決の精度が高まる可能性が出てきます。
また、シンプルな意見を出し合う方が、気後れせずチームメンバーからの意見も出しやすくなります。
その3|「Keep」「Problem」書き出しを習慣づける
チームでディスカッションを行う場合でも、個人的に「Keep」「Problem」を書き出しを日々心がけるようにしましょう。
いざ、チームミーティングになったとしても、記憶が鮮明なうちに記録を残すことで振り返りをしやすくなり、意見も出しやすくなります。
また、日々の自身への振り返りにも直結するので、習慣化するようにしましょう。
その4|「Keep」「Problem」をバランスよく
問題解決意識が高くなる場合「Problem(問題)」が多くなりがちになります。
KPTの目的をはっきりさせた上で、これまでの成果で評価すべき点、今後も続けていく点などにも意識を向け、バランスよく振り返りを行うように心がけましょう。
KPT活用に便利なツール
リモートワークなどの遠隔であってもメンバー間の情報共有のしやすさから、アプリなどツールを取り入れて振り返りを行なっている企業も増えています。
ツールを使うことで、KPTの振り返りも効率よく行え、セキュリティ面の心配が解消されるため、需要も増えてくることが予想されます。
多くの企業が導入している、KPT活用に便利なツールを3つご紹介します。
KPTツール1|Trello
Trelloは付箋を貼って剥がすような感覚で、タスク管理ができるツールです。
メンバー間での共有もでき、分類分けラベルや、コメント機能も活用できるため、KPTの振り返りにも活用することができます。
プロジェクトごとにタスクボードを管理できるため、セキュリティ面の心配もありません。
KPTツール2|KPTER
KPTERは、KPTを行うための専用ツールです。
いつでもリアルタイムでKPTを行いメンバーでの共有が可能です。
さらに、「Try」は自動的にタスクとして記録され、進捗状況も可視化される便利な機能もあり、KPTの「Try」を徹底管理できる機能があります。
KPTツール3|Coggle
Coggleは、マインドマップを作成するツールで、KPTにも利用が可能です。
KPIという項目を中心に「Keep」「Problem」「Try」の枝グラフを作り、それぞれ「習慣化」「継続」「保留」などの枝を作り、グラフ化するなどしてKPTのフレームワークでも活用することができます。
Web上でメンバーに共有できるだけでなく、シンプルな作りであるため、説明いらずで進捗も一目瞭然で把握することができます。
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この記事を書いた人
すべらないキャリア編集部
「ヒトとITのチカラで働く全ての人を幸せにする」というミッションのもと、前向きに働く、一歩先を目指す、ビジネスパーソンの皆さんに役立つ情報を発信します。