理系の弁護士「弁理士」の難易度や効果的な勉強方法を解説します

  • 2021.11.26

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弁理士とは?

弁理士とは弁護士や公認会計士などと並ぶ国家資格で、知的財産権に関わる専門家です。

普段生活をする上で直接関わる事がないので一般的に馴染みの薄い資格ですが、1899年の制定以来120年以上もの歴史を誇ります。

主な業務内容は発明や創作の元となるアイデア(知的財産)を発明者に代わって特許庁に「特許」を出願し、特許登録をサポートする仕事です。

近年では経済のグローバル化が進むのに伴い海外での知的財産登録に関わる業務や、発明者も気づかない知財を発見・発掘し企業の競争力強化に貢献する「知財コンサルティング」業務など、業務バリエーションは大きく広がっています。

2002年に宣言された「知的財産立国」への取り組みにより弁理士人口は年々増加しており、2021年9月末時点で登録されている弁理士は約12,000人です。

ビジネス現場における知的財産権の重要性が高まるのとともに弁理士の活躍は益々期待されています。

弁理士は高収入が目指せる

弁理士の年収相場は700~5000万円程度と言われていますが、年収幅があるので働き方から具体的に解説します。
まず、弁理士の働き方としては以下の3つが一般的です。

    • 特許事務所に勤務する
    • メーカーの特許部・知的財産部に勤務する
    • 独立開業する

弁理士の報酬は出願にかかる手数料や中間手続きおよび登録完了後の成功報酬から構成されており、顧客企業と顧問契約を結んでいる場合は顧問料を受け取ります。

特許出願1件あたりの報酬は平均すると20万円~35万円程度であり、独立開業をしている場合は家賃やスタッフの人件費など経費を除いた売上金額が収入となります。

仕事をした分だけ収入に反映されるので、順調に事業所を成長させることができれば年収5000万円台も夢ではありません。

特許事務所やメーカーに勤務する場合は勤務先の給与体系によりますが1年目から500万円~600万円程度、数年で1000万円程度の年収に到達する人もいます。

特に特許事務所に勤務する場合で実績給の場合は多くの案件をこなすほど年収は上昇し、成績次第では2000万円の年収を手にすることも可能です。

弁理士試験の試験概要

弁理士になるためには以下の3つのルートがあります。

    • 弁理士試験に合格する
    • 司法試験に合格後に弁護士登録をした上で、弁理士にも登録する
    • 特許庁の審査官・審判官として7年以上の実務経験がある
 

ただし、9割以上の弁理士は弁理士試験を経て弁理士資格を取得しています。弁理士試験の概要は以下の通りです。

試験時期 年一回
 
・願書提出:3月中旬~4月上旬  
・短答式試験:5月中旬~下旬  
・論文式試験(必須科目):6月下旬~7月上旬  
・論文試験(選択科目):7月下旬~8月上旬  
・口述試験:10月中旬~下旬  
・合格発表:10月下旬~11月上旬頃
受験資格 特になし。
(学歴、年齢、国籍等による制限は一切なし。)
受験料 12,000円
試験内容
(短答式試験)
知的財産に関わる法律から出題される全60問を
マークシート形式で回答。
試験内容
(論文試験※必須科目)
工業所有権に関する法令(特許・実用新案、意匠、商標)から
出題される問題に論文式で回答。
試験内容
(論文試験>※選択科目)
理工Ⅰ(機械・応用力学)、
理工Ⅱ(数学・物理)、
理工Ⅲ(化学)、
理工Ⅳ(生物)、
理工Ⅴ(情報)、
法律(弁理士の業務に関する法律)の7科目から1題を選択し論文式で回答。
試験内容(口述試験) 工業所有権(特許・実用新案、意匠、商標)
に関する法令に関する設問を面接形式で回答。

弁理士試験は、短答式試験、論文式試験(必須科目、選択科目)、口述試験の4試験からなり、順番に合格しながら進めていきます。

弁理士試験の難易度

弁理士試験は理系の弁護士資格と呼ばれるほど高難易度の試験です。

ここからは特許庁が公開している弁理士試験統計を元に、合格率や合格者のデータなど弁理士試験の難易度を解説します。

弁理士の合格率

直近令和2年度に実施された弁理士試験の合格率は以下の通りです。

試験区分 受験者数 合格者数 合格率
短答式試験 2,259人 411人 18.2%
論文試験 必須科目:1,039人
選択科目:231人
265人 25%
口述試験 287人 282人 98.6%
最終合格率 - - 9.7%

参考:特許庁

また、直近5年間の合格率も以下の通りであり、合格率だけをみるとかなり高難度の試験だといえるでしょう。

平成27年 6.6%
平成28年 7.0%
平成29年 6.5%
平成30年 7.2%
令和1年 8.1%

弁理士の平均受験回数

直近令和2年度に実施された弁理士試験最終合格者統計によると、弁理士試験の平均受験回数は以下の通りです。
一発合格となる人は全体の約11%でごく少数であるのが分かります。

受験回数 人数 割合
初回 34 11.8
1~5回 177 61.7
6~10回 56 19.5
11~15回 19 6.6
16~20回 1 0.3

参考:特許庁

弁理士試験には試験免除制度があり、各試験区分合格者は合格後2年間の対象試験が免除となります。
そのため、免除制度を活用しながら複数回受験をしながら合格を目指すのが一般的な受験方法です。

合格者データ(年齢、性別、文系・理系別)

年齢別内訳

年代 人数 割合
10代 0 0%
20代 61 21.3%
30代 126 43.9%
40代 61 21.3%
50代 21 10.1%
60代 9 3.1%
70代 1 0.3%
平均年齢 37.9歳
最年少 22歳
最年長 70歳

平均受験年齢は37.9歳であり、社会人として働きながら受験を目指す人が多いのも弁理士試験の特徴です。

具体的には弁理士事務所に就職後に弁理士試験を目指すケースが多く、弁理士の仕事内容を理解するとともに、実務を通して理解を深められるのがメリットです。

また、一般企業で働きながら弁理士を目指すケースでは、技術部門や知財部・法務部などで仕事をする中で弁理士に興味を持ち、弁理士試験に挑戦するケースが多いようです。

性別内訳

性別 人数 割合
男性 215 74.9%
女性 72 25.1%

弁理士の合格者データおよび登録者データを見ても、女性弁理士は全体の2割程度です。しかし、弁理士の仕事内容に性別による適性の差異はありません。
むしろ弁護士や公認会計士など他の士業と同じく、妊娠・出産などのライフイベントで職場を離れても復帰しやすく、女性が活躍しやすい資格の一つといわれています。

出身系統別内訳

系統 人数 割合
理工系 228 79.4
法文系 44 15.3
その他 15 5.2

参考:特許庁

出身系統を見ると理工系出身者が約8割を占めます。理工系出身の場合は大学・大学院で学んだ専門分野をとっかかりにして業務の幅を広げるケースが多いようです。

対して法文系出身の場合は担当する技術に関する知識を学ぶ道の他に、法律知識や語学力を活かして商法や意匠・契約・紛争処理などに特化して仕事をするケースもあります。

弁理士合格には3000時間必要?効率よい勉強方法のポイント2選

弁理士試験は高難易度の試験であり、一般的に3000時間もの勉強時間確保が必要だといわれています。
8割もの受験者が働きながら弁理士試験に挑戦しており、忙しい本業の合間を縫って勉強のやりくりをするのは相当の覚悟が必要です。

試験日から逆算して勉強スケジュールを立てる

弁理士試験は受験チャンスは一回きりで、確実に合格を勝ち取るためには綿密な勉強計画が欠かせません。

また、弁理士試験は短答式試験~口述試験まで4つの大きな試験区分があり、それぞれに必要な対策方法は異なります。

効率よく勉強を進めるためには予め試験要項に目を通し、どのようなスケジュールで勉強を進めるのか計画を立てましょう。

また、1発合格をいきなり目指すのではなく、複数回の少しずつ合格できるように計画を立てることも有効です。

独学ではなく、通信講座・予備校を利用する

弁理士試験は高難易度試験であり、独学で勉強するのはハードルが高いです。
そのため、弁理士を目指す受験者の多くは受験予備校に通ったり、通信講座を利用したりとプロの手を上手く借りながら勉強を進めています。

働きながら弁理士合格を叶えた人の体験談では通勤時間や昼食時間などのスキマ時間で法律の条例や過去問の学習をし、出社前や退社後、休日は予備校・通信講座を活用しながら勉強するケースが多く見られます。

積極的に予備校や通信講座を活用し、出題範囲や傾向に沿ったピンポイントで効率の良い受験勉強を進めましょう。

弁理士は高難易度資格!ポイントをおさえた勉強方法で合格を目指そう

弁理士は資格取得までの難易度が注目されがちですが、弁理士試験の合格後も技術革新や法改正など向上心を持って自ら学ぶ姿勢が求められる職業です。

日常的に学ぶことを苦にせず、好奇心や知識欲が旺盛な人は弁理士試験に挑戦してみましょう。

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この記事を書いた人

すべらないキャリア編集部


「ヒトとITのチカラで働く全ての人を幸せにする」というミッションのもと、前向きに働く、一歩先を目指す、ビジネスパーソンの皆さんに役立つ情報を発信します。

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