社会福祉士の資格を取る方法とは?資格難易度や注意点を詳しく解説

  • 2021.05.18

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少子高齢化や貧困格差が進む日本社会において、需要が高まっている資格が社会福祉士です。

活躍の場が多い分、必要とされる知識も多く、高い専門性を問われます。

今回は、社会福祉士の資格を取る方法や活躍できる場所などについて解説します。

社会福祉士とは

社会福祉士とは、病気や貧困などを理由に日常生活を送ることが難しい人たちを、専門知識を持って支援する国家資格です。

今後は介護保険制度や障害者自立支援法の改正によって、地域福祉支援における社会福祉士のニーズが高まると予想されています。

医師のように独占資格はないものの、社会福祉士の資格を持たないと社会福祉士として名乗ることができない名称独占資格です。

この資格はソーシャルワーカーとも呼ばれ、1987年に誕生した「社会福祉士及び介護福祉士法」とともに生まれました。

社会福祉士の支援の対象となるのは、高齢者や身体/知的障害を持つ人、親のいない子供たちなど多岐にわたります。コロナ渦によって家庭内のDVや児童虐待が問題視されている今、社会福祉士はさらに必要になっていくと考えられます。

社会福祉士の活躍の場所

社会福祉士の活躍の場は広く、就職先としては、児童相談所や身体障がい者福祉施設などの社会福祉施設、医療機関や老人ホーム、在宅介護支援センターなどがあります。

また、教育機関や企業で相談援助業務を依頼されることもあります。地域福祉の向上を目指す団体「社会福祉協議会」でも、社会福祉士として活躍する人は多くいます。

社会福祉士の資格があれば独立することも可能ですので、自身で事務所を立ち上げ、自分がやりがいを感じる分野の専門家になることもできます。

精神保健福祉士との違い

社会福祉士と混同されやすい資格が精神保健福祉士です。

これらの資格の違いは、社会福祉士が幅広い状況にある人を支援するのに対し、精神保健福祉士は精神障害者の社会復帰を支援することです。

精神保健福祉士は精神医療分野で需要のある国家資格ですが、社会福祉士と比べ難易度と認知度は低いです。

社会福祉士の資格を取るまでの流れ

社会福祉士の資格を取るためには受験資格を満たしている必要があります。教育機関での修了経歴や実務経験によって、試験を取るまでの流れが異なります。

ここでは、経歴別に社会福祉士の資格を取得するまでの流れを解説します。

1つずつ解説していきます。

福祉系の大学・短大を卒業した場合

福祉系の大学で指定科目の履修を修了している場合、そのまま社会福祉士の資格試験を受験することができます。ただし、福祉系の短大を卒業している場合は、相談援助の実務経験も必要になります。

短大にいた期間と実務経験の期間の合計が4年間あれば、受験資格を満たすことができます。

福祉系の大学で基礎科目しか履修していない場合は、大学卒業後に短期養成施設などで6ヶ月以上の受講が必要となります。

福祉系以外の大学・短大を卒業した場合

一般の大学を卒業した場合、受験資格を満たすためには一般養成施設などで1年以上受講する必要があります。また、短大を卒業している場合は、一般養成施設の受講に加えて相談援助の実務経験も必要になります。

短大にいた期間と実務経験の期間の合計が4年間あれば、受験資格を満たすことができます。

社会福祉主事養成機関に行った場合

社会福祉主事養成機関を出ている場合、大学に行かなくても社会福祉士の資格試験を受けることができます。

ただし、相談援助実務の経験が2年以上、短期養成施設などでの受講が6ヶ月以上必要になります。

相談援助の実務経験が4年以上ある場合

児童福祉や障害者福祉、老人福祉などの実務経験が4年以上ある場合、大学に行かなくても社会福祉士の資格を取得することができます。

ただし、短期養成施設などで6ヶ月以上受講することが必要になります。

社会福祉士に必要な実務経験として認められる分野は、児童分野、高齢者分野、障がい者分野、その他の分野、現在廃止事業の5つです。

児童分野を例に挙げると、保育士や児童指導員、ソーシャルワーカーなどが児童分野に該当します。

社会福祉士の資格難易度

社会福祉士の例年の合格率は30%弱で、2020年の合格率は29.3%でした。国家資格ということもあり、簡単に受かる資格ではありません。

2020年度の合格者をみると、30歳以下の割合が47.6%ともっとも多く、次いで30代が17.5%、40代が20.8%となっています。

社会福祉士の試験内容

社会福祉士の試験では、下記の18科目について出題されます。

    1. 人体の構造と機能及び疾病
    2. 心理学理論と心理的支援
    3. 社会理論と社会システム
    4. 現代社会と福祉
    5. 地域福祉の理論と方法
    6. 福祉行財政と福祉計画
    7. 社会保障
    8. 障害者に対する支援と障害者自立支援制度
    9. 低所得者に対する支援と生活保護制度
    10. 保健医療サービス
    11. 権利擁護と成年後見制度
    12. 社会調査の基礎
    13. 相談援助の基盤と専門職
    14. 相談援助の理論と方法
    15. 福祉サービスの組織と経営
    16. 高齢者に対する支援と介護保険制度
    17. 児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
    18. 就労支援サービス、更生保護制度

18個目の「就労支援サービス、更生保護制度」は、2科目を1つにまとめているため、実質は合計19科目となります。150問出題され、1問1点ですので150点満点となります。

合格基準は60%以上ですが、全問不正解の科目があると全体で60%以上取っていても不合格となってしまいます。

社会福祉士の試験は、精神保健福祉士試験や介護福祉試験に比べカバー範囲が広く、その分難易度も高くなります。

精神保健福祉士の免除科目

精神保健福祉士の資格を持っている場合は、申請すれば下記の共通科目が免除されます。

    • 人体の構造と機能及び疾病
    • 心理学理論と心理的支援
    • 社会理論と社会システム
    • 現代社会と福祉
    • 地域福祉の理論と方法
    • 福祉行財政と福祉計画
    • 社会保障
    • 障害者に対する支援と障害者自立支援制度
    • 低所得者に対する支援と生活保護制度
    • 保健医療サービス
    • 権利擁護と成年後見制度

社会福祉士に向いている人の特徴3選

ここからは社会福祉士に向いている人の3つの特徴について解説していきます。

1つずつ紹介していきます。

社会貢献にやりがいを感じる人

社会福祉士は社会的弱者を支援する仕事です。相談者の中には、心を痛めてしまうような状況に置かれている人もいます。

人を助けることにやりがいを感じたり、困っている人を助けたいという正義感を持っていたりする人でないと、社会福祉士として仕事をすることは難しいでしょう。

もちろん豊富な知識や冷静な判断力も必要ですが、これらは人を助けたいという気持ちがあれば後天的に身につけることができます。社会福祉士には何よりも社会貢献したいという気持ちが大切です。

人とコミュニケーションを取ることが好きな人

社会福祉士は、業務で人と直接話す機会が多い仕事です。相談者だけでなく、相談者の家族や関係者などさまざまな立場の人と関わるため、コーディネーターのような役割も果たします。

そのため、人とコミュニケーション取ることが好きな人に向いている仕事だと言えます。

また、社会福祉士は相談者の声に耳を傾け、相手の話をしっかり聞くことも重要な仕事の一つです。

ちょっとした会話から相手のニーズを読み取り、的確な支援をおこなうためにも、コミュニケーション能力は必要不可欠でしょう。

新しいことを学びたいという意欲がある人

家庭環境などの状況は相談者によって異なるため、社会福祉士は日々新しい状況に適応していかなければいけません。社会福祉士が直面する社会問題も日々変わっていきます。

そんな中で、社会福祉士として相談者を救えるかどうかは、最新の知識とより多くの情報を持っているかにかかっていると言えます。

社会福祉士は資格を取ってからがスタートで、生涯勉強し続ける仕事だと言う人もいます。そんな社会福祉士は、日々新しいことを学びたいという意欲がある人のほうが向いているでしょう。

社会福祉士資格を取得する際の2つの注意点

最後に、社会福祉士資格を取得する際に気をつけるべき2つの注意点について紹介します。

最新の問題集を使用すること

法改正が頻繁に行われる社会福祉士の分野は、試験内容も頻繁に変わります。

最新の問題集を使わないと、間違った知識や古い知識を取り入れてしまう可能性があるため注意しましょう。

法改正などの最新情報を学べる直前対策講座を受講することもオススメですよ。

早めにスケジュールを立てる

働きながら社会福祉士の試験を受ける場合、効率的な勉強のスケジュールを立てることが試験に合格する上で重要になります。

1日30分もあれば十分勉強できますので、1日にどのくらい勉強するというのをあらかじめ決めておきましょう。

スケジュールを立てるためには、自分が何に時間を使っているかを理解することが大切です。テレビを見る時間やゲームをする時間など、人によっては息抜きの時間も必要です。

無理なスケジュールは続かないため、実行可能なスケジュールを立てるようにしましょう。

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この記事を書いた人

すべらないキャリア編集部


「ヒトとITのチカラで働く全ての人を幸せにする」というミッションのもと、前向きに働く、一歩先を目指す、ビジネスパーソンの皆さんに役立つ情報を発信します。

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