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利益という意味の言葉は数多く存在しますが、「ベネフィット」はとくにマーケティングにおいて重要なキーワードです。
今回は、なぜベネフィットがビジネスで重視されるのか、その理由や種類、ビジネスに活かすための方法を紹介します。
ベネフィットとは
ビジネスシーンで用いられる「ベネフィット」という言葉は、「利益」そのものだけを表すのではありません。
「相手が満足する事」「商品・サービスによって叶えられる、よりよい未来」という意味合いで使用されます。ですから、「ベネフィット」はビジネスにおける顧客満足の観点で重要視されているのです。
顧客の商品・サービスへの購買意欲を引き出すケースを考えてみると、商品・サービス自体の良さをどれだけ詳細に説明しても不十分ですよね。
その商品・サービスを使用する事で顧客がどのような価値を得られるのか、つまり「ベネフィット」が何なのかを説明することが重要なのです。
こうして顧客の意思選択に影響する「ベネフィット」を正しく理解することが、今後のビジネスシーンでの成功につながります。
ベネフィットの意味
「ベネフィット」でもっともポピュラーな意味は「利益」です。
まさに、個人や企業が商品・サービスを売る事によって得られる「利益」の事です。
その他に、人や会社が幸福になる為の「便益」「恩恵」。社会的に役立つ行動としての「援助」「手助け」また「福祉活動」という意味も含まれています。
このように、複数の意味を持つ「ベネフィット」ですが、以下の3つの分野で使用される事が多いです。
- マーケティング分野の「ベネフィット」:顧客が商品・サービスを購入する事によって得られる利益。
- 医療分野の「ベネフィット」:医療品で得られる効果や安全性。
- 行政分野の「ベネフィット」:公共事業によって得られる利益。
「ベネフィット」をどんな場面で使用するか、意味合いの違いは何かをよく考えて使い分けをしましょう。
マーケティングにおけるベネフィットとは
マーケティングにおける「ベネフィット」とは、その先に期待される満足です。
マーケティングは、顧客にあったニーズを最適な形で提供するために欠かせない活動であり、企業の売上を左右するものでもあります。
ですから、売上の向上を考えるときには、顧客の「ベネフィット」に着目することが求められるのです。
ベネフィットとメリットの違い
「ベネフィット」に似た言葉に「メリット」があります。
しかしこの2つの言葉には、決定的な違いがあります。
「ベネフィット」とは商品・サービスを購入する目的になるもの、顧客中心のメッセージ。
「メリット」は商品・サービスを購入する条件になるもの、商品・サービス中心のメッセージです。
ビジネスにおいて、この「ベネフィット」と「メリット」の違いを理解する事はとても大切です。ぜひ、2つの言葉の違いを理解し、ビジネスに役立てていきましょう!
メリットの特徴
「メリット」とは、直訳すると「価値のある特徴・長所・利点」という意味です。
マーケティング用語としては、多くの顧客にとってプラスにはたらく商品・サービスの効果の事をいいます。
例えば高級時計を売るとき、「世界に10個しかない」「ダイヤモンドを使用している」といった特徴があれば、それらが「メリット」になります。
ベネフィットはメリットの先にあるもの
ベネフィットとは、メリットによりもたらされる恩恵の事で「この商品・サービスを購入するとこんな良い効果がある」という説明です。
ベネフィットが顧客の心に上手く伝わり、心に刺されば購買意欲も高まります。
ベネフィットを顧客に伝えるには、ターゲットユーザーを設定して、商品・サービスを使用したときにその人の生活にどんな良い効果をもたらす事ができるのかなど、調査する事が大切です。
ベネフィットの種類
ブランドの神様デビッド・アーカーは、「機能的ベネフィット」「情緒的ベネフィット」「自己表現ベネフィット」という3種類のベネフィットに分類しました。
この3種類のベネフィットを意識して使い分けることで、商品・サービスの魅力を最大限に顧客に伝える事ができます。ここでは、3種類のベネフィットの特徴を解説します。
機能的ベネフィット
機能的ベネフィットとは、商品・サービスがもたらす、顧客にとってプラスに働く効果です。
一般的には「メリット」と同じような意味です。早い・安い・美味しい・軽いといった機能的ベネフィットは人間の「生理的欲求」と「安全欲求」の2つの欲求に向けた表現が多いです。
- 「生理的欲求」:食べたい、休みたいといった生命維持に関わる欲求
- 「安全欲求」:安全でいたい、リスクを負いたくないといった欲求
この2つの欲求は人間の欲求の中でもっとも基本的な欲求です。
情緒的ベネフィット
機能的ベネフィットにプラスの感情を加えたのが、情緒的ベネフィットです。
ここでの感情とは商品を使用しているときの感覚です。
例えば、満足感・優越感・爽快感などの感情を加えることで、さらに顧客の感情を動かすことができますよね。
自己表現ベネフィット
自己表現ベネフィットとは、商品・サービスを得ることで可能になる、自己表現・自己実現です。
この商品・サービスを得ることによって、自分らしくいられる・理想の自分に近づけるなど、顧客の「自己実現欲求」を満たす事ができます。
この自己実現ベネフィットは他者との関係性の中に存在しているものであるといえます。
ベネフィットをビジネスで活用する
ビジネスにおいて「ベネフィット」を活用するには、
- ターゲットユーザーの設定と問題・課題に着目する
- ターゲットユーザーが共感できるストーリーを作る
- ターゲットユーザーの問題や課題が解決できるベネフィットの提示
の流れでおこなうと良いとされています。
この流れを頭に浮かべながら、以下のステップを実践してみてください。
商品やサービスのスペックをメリットに置き換える
まずは商品・サービスの成分や製法データ、理論など、あらゆるスペックを洗い出してみましょう。
有名な推薦メディア掲載の実績や販売数量、資格なども顧客からの信頼の裏付けになります。
ここで出てきたスペックをメリットに置き換えていきます。
メリットがユーザーの欲求をどう満たすか考える
次に、スペックの洗い出しで決まった「メリット」がどのようにしてユーザーの欲求を満たすのかを考えましょう。
その前に、ターゲットユーザーを設定しなければなりません。
ターゲットユーザーを設定したら、彼らがもつ問題や課題を詳しく調べます。そして商品・サービスがその問題・課題を解決できるのか、ということを整理していきます。
ここで大事なのは、「見えないニーズ」をくみ取ることです。
というのも、顧客は商品・サービスを購入するとき、「こんな感じのものが欲しい」と想像しているのですが、その想像に応える商品・サービスを提供するだけでは、メリットを売っているだけになってしまいます。
顧客自身が気づいていない問題や課題、つまり「見えないニーズ」を想像して、「本当はそういうものが欲しかった!よく分かったね!」と驚かせないといけないのです。
ターゲットに訴求するストーリーを作成する
ストーリーを作成する目的は、「特定の商品・サービスによって、自分の問題・課題が解決する」ということにまだ気づいていない潜在顧客に対し、「自分にも同じような問題・課題がある!」と意識してもらうことです。
ターゲットユーザーが「あるある」と共感するストーリーを提示することで、商品・サービスに対する興味をもってもらえます。
ターゲットにベネフィットを提示する
ストーリーによって、顧客の共感を得ることができたら、商品・サービスによるベネフィットを提示します。
顧客が「機能的ベネフィット」「情緒的ベネフィット」「自己実現ベネフィット」の3種類のベネフィットから、どのタイプを最も求めているかを見極めることが重要です。
まとめ
商品・サービスを販売する人は、優れている部分や力を入れて開発した部分などをアピールしがちです。
しかし、顧客が本当に求めていることは、商品・サービスを使用することで得られる未来や体験です。
顧客が商品・サービスを通して何を求めているのかを理解すれば、同じ商品・サービスであっても打ち出し方が変わったり、商品・サービスの改良にも繋がっていきます。自分目線ではなく、顧客目線で顧客が本当に求めている事=「ベネフィット」をどのように伝えるのか、しっかり考えなければなりません。
ぜひ、「ベネフィット」を正しく理解してビジネスに役立てていきましょう。
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この記事を書いた人
すべらないキャリア編集部
「ヒトとITのチカラで働く全ての人を幸せにする」というミッションのもと、前向きに働く、一歩先を目指す、ビジネスパーソンの皆さんに役立つ情報を発信します。