SDGsとは?世界的に注目されている目標と日本の取り組みを解説

  • 2020.11.07

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ニュースなどで耳にすることも多いSDGs。
カラフルなアイコンが並ぶイラストを一度は見たことがあるのではないでしょうか。

SDGsは、グローバルな開発目標として多くの国、また自治体・企業が積極的に取り組んでいます。

この記事では、SDGsの概要や目的を解説するとともに、日本における国や各企業の取り組み状況を紹介します。

SDGsとは

SDGs(エスディージーズ)とは、「Sustainable Development Goals」の略で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳します。

2015年の国連サミットにおいて全会一致で採択された取り組み目標で、国連加盟国の193ヵ国が2030年までに達成すべき中長期的な目標を定めたものです。

貧困や飢餓、健康といった社会問題、エネルギー・経済成長、気候変動や環境への取り組みなど、幅広いテーマを含む17個のゴール(目標)と、それを実現するための169個の具体的なターゲット(具体目標)からなります。

また、国連では2020年から2030年を「行動の10年」に指定し、世界各国にSDGsの取り組みを加速させることを求めています。

SDGsが必要とされている理由

過去の世界経済は自国の利益を最優先にし、他国や地球全体への影響を無視して開発を続けてきた歴史があります。

その反省として、SDGsには「地球上の誰一人として取り残されないように(leave no one behind)」という考えが盛り込まれました。

S

DGsは先進国や発展途上国といった枠組みを超えて、貧困問題や環境問題などの重要課題を共に考え、共に取り組むことを誓った共同宣言です。

一部の国だけに責任を押し付けたり、取り組みを強制したりするものではありません。

普遍的(ユニバーサル)な取り組みとして、全ての国・企業・住民が一致団結して取り組むことが必要不可欠です。

MDGs

SDGsの前身であるMDGs(エムディージーズ/ミレニアム開発目標)は、国際目標で2000年の国連サミットで採択されました。

MDGsでは、「貧困と飢餓の撲滅」や「初等教育の完全普及」、「乳幼児死亡率の削減」などが掲げられており、主に発展途上国の支援を目的とした国際目標です。

MDGsが2015年の達成期限を迎えた際に、発展途上国からの反発や支援地域の偏りがあったことなどを受けて、国連各国は、世界各国の共通目標として新たにSDGsを採択しています。

SDGsの17の目標と169のターゲット

SDGsには17個の大きな目標があり、一つ一つの目標に対して具体的な取り組み指標となるターゲットが5~10個ずつ(全部で169個)、そして169個のターゲットに対する232個の数値目標が設定されました。

ここからは、17個の目標を具体的に解説します。

17個の目標は、それぞれ独立した目標ではなく、ある目標を達成するために、関連性の高い別の目標にも取り組む必要があるなど、どれも相互接続的な関係性が存在することにも注目しましょう。

貧困をなくそう

世界中のあらゆる場所、地域から貧困を取り除くことが達成目標です。

例えば、「最貧困層」とよばれる1日1.25ドル未満(約130円)で暮らす人々をゼロにする、各国定義で貧困状態にある男女・子どもを半減させる、など7つのターゲットで構成されています。

一見すると発展途上国の支援をする目標のようですが、日本における貧困率は2016年時点で15.7%であり、先進国を含む世界各国の「相対的貧困層」を失くすことが目標です。

飢餓をゼロに

飢餓を終わらせるべく、食料の安定確保と栄養状況の改善を達成すること、持続可能な農業を推進することが達成目標です。

8つのターゲットが存在し、世界中の人々、特に貧困層及び幼児などが、一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られることなどがあります。

単純に飢餓を失くすだけでなく、安定的に食糧確保ができるような「持続可能な食料生産システム」を構築するなど、農林水産業の支援が含まれている点も特徴的です。

全ての人に健康と福祉を

あらゆる年齢の人が健康的な生活が送れるようにすること、社会福祉を推進することを目標にしています。

幅広い健康テーマを掲げていて、具体的な達成指標であるターゲットは13個です。

世界中の妊婦、新生児、交通事故死亡者の削減や、エイズ、結核、マラリアなど伝染病の根絶、薬物・アルコール物質の乱用防止、などが具体的なターゲットに挙げられています。

質の高い教育をみんなに

世界中の人々が、包摂的かつ公平で質の高い教育が受けられるようにすること、生涯学習の機会を促進することなどが達成目標です。

子どもの場合は男女の区別なく、無償で公正かつ質の高い初等教育及び中等教育を修了できるようにすること、大人の場合は「働きがいのある人間らしい仕事」ができるように技術的・職業的スキルの習得を支援することなど、10個の指標がターゲットに含まれています。

ジェンダー平等を実現しよう

ジェンダー(社会的・文化的に形成された性別)の平等を達成することが目標です。

特に歴史的に弱い立場にあった女性や女児について、あらゆる差別・暴力有害な慣行から排除すること、政治・経済・公共分野のあらゆる場面で女性の参画やリーダーシップを発揮することを支援するといった、9個のターゲットが含まれています。

安全な水とトイレを世界中に

世界中の全ての人々が安全で安価な「飲料水・生活用水」が利用できるようにすること、および国境を超えた支援を含む水資源の管理、水に関連する生態系の保護・回復などが達成目標です。8個のターゲットが設定されています。

エネルギーをみんなにそしてクリーンに

ここからはエネルギー、働き方、経済成長に関する目標が並びます。

エネルギーの目標としては、世界中の全ての人々が安価かつ信頼できる、持続可能な近代的エネルギーを利用できるようにすることが掲げられました。

全部で5つのターゲットからなり、石油や石炭といった従来の化石燃料に代わり、再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させることなどが含まれています。

働きがいも経済成長も

全ての人のための持続的、包摂的な経済成長や生産的な雇用創出、ディーセントワーク(働きがいがあり人間らしい雇用)を促進することが目標および12個のターゲットです。

自国の経済成長だけでなく、世界全体の経済成長を促進することがポイントで、特に後発開発途上国は年率7%以上の成長率を維持することなどがターゲットにされています。

また、「働きがい」と「経済成長」を両軸で達成することも求められています。

産業の技術革新の基盤を作ろう

強靭で持続可能な都市および人間居住を整備し産業化を促進させるとともに、技術革新の更なる拡大が達成目標です。

8つのターゲット指標から構成されており、高品質で信頼性の高いインフラの整備や、研究開発従事者数の拡充、金融・テクノロジー・技術の支援強化を掲げています。

人や国の不平等をなくそう

国内、および各国間の不平等を是正することが目標です。

不平等とは具体的に、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、経済的地位による差別のことで、法整備や社会保障政策の導入などで「平等」を拡大することがうたわれています。

この達成目標には、10個のターゲットが含まれています。

住み続けられるまちづくりを

包摂的で安全、強靭で持続可能な都市、および人々の居住地を実現することが目標です。

10個のターゲットがあり、スラムの改善、公共交通機関の拡大、文化遺産及び自然遺産の保護・保全、自然災害への対策などが挙げられています。

現時点の状況改善だけでなく、将来にわたって全ての人々が住み続けられる都市づくりを目標にしていることがポイントです。

作る責任使う責任

持続可能な消費と生産の形態を確保することが達成目標です。

食品ロスや有価物(リユース、リサイクルができるもの)の廃棄を削減するなど、有限資源浪費の解消が掲げられています。

生産工程での廃棄抑制や、廃止、再生利用や再利用が代表的なターゲットです。

全10個のターゲットが設けられており、国・大企業による啓蒙活動や、科学的・技術的能力の強化、天然資源の持続可能な管理などがあります。

気候変動に具体的な対策を

ここからは環境系の達成目標となります。

気候変動に関する目標には、気候変動やその影響を軽減するための緊急対策を求める達成目標が挙げられています。

各国の気候変動・自然災害に対する強靭性や適応力の強化や、世界各国が協力して気候変動に対抗するための教育、啓発、制度機能拡充など5つがターゲットです。

温室効果ガス削減を各国に義務付けたUNFCCC(国連気候変動枠組条約)の内容も含まれています。

海の豊かさを守ろう

海洋そのものや、海洋資源を保全し、持続可能な形で利用することを目標に掲げ、10個のターゲットで構成されています。

ターゲットの例としては、海洋汚染の防止・大幅な削減、海洋生態系の回復にむけた取組促進、過剰漁業・違法漁業の廃止などです。

陸の豊かさも守ろう

海だけでなく、陸の生態系保護、回復、持続可能な利用推進を掲げる達成目標です。

動植物などの生態系保護や、持続可能な森林運営、砂漠化への退所、および土地の劣化阻止・回復など様々なテーマを含む、17個のターゲットがあります。

平和と公正をすべての人に

持続可能な開発の貯めに平和な社会づくりを促進し、全ての人々が司法を平等に利用出来ることを目標にしています。

具体的には、あらゆる暴力・虐待による死亡をゼロにする、国家・国際的な法整備を促進する、透明性の高い公共機関の発展、グローバル機関に発展途上国の参画などで、全12個のターゲットが存在します。

パートナーシップで目標を達成しよう

最後の目標は、ここまでの達成目標を統括するような目標が掲げられています。

持続可能な開発のために世界各国が協力し、「グローバル・パートナーシップ」を活性化することが目標です。

資金、技術、キャパシティ・ビルディング、貿易、マルチステークホルダー・パートナーシップ、データ・モニタリング・説明責任のそれぞれでターゲットがあり、全部で19個の達成指標が設定されています。

SDGsの日本の取り組み

ここからは、SDGsに対して日本国や日本企業がどのような取り組みをしているのかを、具体的な事例を引用しながら紹介します。

SDGsの世界における日本の達成度

2020年6月に発表された世界各国のSDGs達成度ランキングにおいて、日本の順位は全166カ国中17位です。

スウェーデン、デンマーク、フィンランドと北欧を中心としたヨーロッパ各国が上位を占めており、アメリカは31位、中国は48位という結果になりました。

17のテーマごとに日本の達成度を見ると、現時点で目標を達成しているのは以下3つのみで他は達成までの課題がある状態とされています。

    • 4.質の高い教育をみんなに
    • 9.産業の技術革新の基盤を作ろう
    • 16.平和と公正をすべての人に

特に、ジェンダー平等・環境系の目標で、重要もしくは主要な課題が残っている状態とあり、2030年までの目標達成には政府や自治体、企業、国民一人一人の協力が不可欠です。

日本政府の取り組み

日本では総理をトップにした「SDGd推進本部」を設置し、外務省、経済産業省、環境省などの各省庁の協力の元で、日本国内におけるSDGsの取り組みを支援しています。

具体的には、SDGsの取り組みガイドライン整備や、成功事例の紹介、優れた取り組みを行った団体・企業の表彰(ジャパンSDGsアワード)、広報・啓蒙イベントの開催などが積極的に実施されています。

日本企業の取り組み

日本企業の取り組みとしては、商店街が一丸となっフードロス削減や若手起業家・ワーキングマザーの支援をした例や、製造過程で利用されてた化石燃料の使用量を大幅に削減した例などがあり、優れた事例はジャパンSDGsアワードとして表彰されています。

なお、従来企業における社会貢献活動は「CSR」として行われていきましたが、SDGsでは事業そのものに目標達成に向けた活動を組み込むことが前提です。

そのため、企業に対してはビジネスの拡大によって社会・環境問題の改善につながる新たなビジネスモデルの構築が求められています。

まとめ

グローバル化が加速するビジネス社会において、SDGsに取り組む企業がグローバルスタンダードになっていく可能性は高いでしょう。

実際に、日本国内の上場企業への調査結果によると、約70%が「SDGsの取り組みが企業責任として重要」と回答しており、今後企業の取り組みが加速することが予想されています。ぜひ積極的な活動を始めてみましょう。

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この記事を書いた人

すべらないキャリア編集部


「ヒトとITのチカラで働く全ての人を幸せにする」というミッションのもと、前向きに働く、一歩先を目指す、ビジネスパーソンの皆さんに役立つ情報を発信します。

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