目次
現代において、タイムマネジメントという言葉が注目されています。
タイムマネジメントは、生産性の向上や残業時間の削減など、実施していくことでさまざまなメリットがあり、ビジネススキルの中でも重要なスキルです。
本記事では、タイムマネジメントは何か、タイムマネジメントの効果や具体的な方法などについて解説していきます。
タイムマネジメントとは
タイムマネジメントとは、仕事を進めていく中での優先順位や時間配分など、時間の使い方をコントロールして、生産性をあげていくためのビジネススキルのことを指します。
働き方改革の影響で注目されるようになり、タイムマネジメントを実施していくことで、残業時間の削減や生産性の向上ができるようになるため、さまざまな企業で導入されています。
また、生産性が高く働く時間をコントロールできている人は、タイムマネジメントができている人が多く、成果を出しながらプライベートと仕事を両立している人も多いです。
スケジュール管理との違い
タイムマネジメントと似たような言葉に「スケジュール管理」という言葉が挙げられることが多いですが、「スケジュール管理」と「タイムマネジメント」は異なる意味を持ちます。
スケジュール管理は、仕事に関する予定を管理して、タスクの調整や予定の進捗管理をしていくことで、タイムマネジメントは、特定の時間内でいかに効率よく仕事を終えることができるのか、優先順位とつけて仕事をこなしていくことを指します。
関連性は強いですが、「スケジュール管理ができる=タイムマネジメント能力が高い」というわけではなく異なる部分もあるので、その点を意識していけると良いでしょう。
- スケジュール管理ができる人=予定の把握や管理ができている人
- タイムマネジメントができる人=仕事を想定通りにこなし、時間内に作業を進めることができる人
POINT
タイムマネジメントの3つの効果
特定の時間内で効率よく仕事をこなし、生産性を上げていくためのスキルである「タイムマネジメント」は、習得することで下記のような効果があります。
- 組織や個人の生産性が上がる
- 長時間労働を見直せる
- ワークライフバランスを実現できる
本項では、それぞれの具体的な内容について解説していましょう。
組織や個人の生産性が上がる
1つ目が、「組織や個人の生産性が上がる」という点です。
タイムマネジメントができるようになると、「仕事に対して効率的にこなしていくにはどうすれば良いか」など、生産性を上げるために必要な思考を常に持ちながら仕事に取り組むことが可能になります。
そのため、個人の生産性の向上を上げることに繋がり、結果として組織全体の生産性の向上にも繋がっていくのです。
長時間労働を見直せる
2つ目が、「長時間労働を見直すことができる」という点です。
組織や個人の生産性を上げることで、仕事全体の効率を上げることができます。
仕事の効率を上げることで無駄な時間を省くことができたり、労働時間内に仕事をこなすためのノウハウが蓄積されることで、個人や組織での残業時間を削減することができるため、長時間労働を見直すことにも繋がっていくでしょう。
ワークライフバランスを実現できる
3つ目が、「ワークライフバランスを実現することができる」という点です。
仕事の効率化による生産性の向上や長時間労働の見直しができるようになると、就業時間内に仕事を終わらせることもできるようになってきます。
その結果、就業時間以外の時間を趣味や自己研鑽などの時間など、自分が理想とするワークライフバランスを実現することも可能でしょう。
タイムマネジメントができない人の特徴
タイムマネジメントができることでの効果について解説してきましたが、逆にタイムマネジメントができない人にも特徴があります。
本項では、タイムマネジメントができない人の特徴について具体的に解説していきましょう。
いつも残業をしている
1つ目の特徴は、「いつも残業をしている」という点です。
仕事が終わらないという理由で、いつも残業をしている人は多いと思います。
そのような人は、仕事の時間の見積もりが甘かったり、集中できずにだらだらと仕事をしてしまっていることで、残業をしている人も多く、タイムマネジメントができていない可能性が高いです。
先延ばし癖がある
2つ目の特徴は、「先延ばし癖がある」という点です。
先延ばし癖がある人は、仕事の優先度がわかっていても、結局取り組むのを後回しにしてギリギリに対応して残業をしてしまったり、時間の見積もりができておらずに、期限までに仕事が間に合わないこともあります。
そのため、先延ばし癖があるひともタイムマネジメントができていない人の特徴に当てはまるでしょう。
タイムマネジメントの方法
ここまで、タイムマネジメントができることでの効果、タイムマネジメントができない人の特徴について解説してきました。
ここからは、タイムマネジメントのスキルを身につけるために何をすれば良いのか、具体的な方法をご紹介します。
優先度をつける
1つ目の方法が、「優先度をつけること」です。
一つ一つの仕事の仕事の期限や所要時間を明確にすることで、優先度を把握することができます。
また、仕事の優先度をつけることで、どの仕事にどれくらいの時間を割くべきなのか、効率よく仕事をこなすためには、どのように仕事を回していくべきなのかを考えることができるようになるでしょう。
常に目的意識を持つ
2つ目の方法が、「常に目的意識を持つこと」です。
仕事をしていく中で、目的意識を持つことは非常に大切なポイントになります。
例えば、仕事の効率を考えた時に、夜にプライベートの予定がある時と何もない時を比べると、前者の方が集中して仕事をすることができたと言う経験がある方は多いのではないでしょうか。
「この仕事は○時までに終わらせる」「今日は定時までに絶対に帰る」など、具体的な時間に対しての意識を強くすることで、効率よく仕事をこなしていくことが可能になります。
するべきことを細分化する
3つ目の方法は、「するべきことを細分化すること」です。
タイムマネジメントを実施していく上で、業務の量や時間を把握することは重要です。
仕事の中にも、より細かいタスクに分けることができる業務もあるため、可能な限り1日単位・数時間単位まで細分化をしていきましょう。
そうすることで、業務にどれくらいの時間がかかるのかを把握し、時間の見積もりや実際にかかった時間などの分析がしやすくなります。
また、タスクを細分化することで、仕事に取り掛かる際の心理的負担も減り、効率よく仕事を進めていくことができるのでおすすめの方法です。
PDCAサイクルを回す
4つ目の方法が、「PDCAサイクルを回す」という点です。
PDCAサイクルとは、「P=Plan(計画)」「D=Do(実行)」「C=Check(評価)」「A=Action(改善)」のことを指し、仕事の効率化や改善をしていくために必要になる4つの行動指標として知られています。
PDCAサイクルを回すことで、業務にどれくらいの時間がかかって、改善するべき点はあるのかどうかを知ることができるため、タイムマネジメントを実施していくためには必要な方法として挙げられるでしょう。
雑務はまとめて対応する
5つ目が、雑務はまとめて対応するということです。
仕事を進めたいく上で、メール確認や細かな業務などは一つ一つ対応をしていくと、集中力が削がれてしまったり、優先度の高い仕事に取り掛かる時間を削ってしまったりすることもあります。
そのため、雑務については、1日の中で対応する時間を決めた上で対応をするようにして、優先度の高い仕事に集中して取り組める状況を作り出せるようにしましょう。
アウトソーシングを活用する
6つ目の方法が、「アウトソーシングを活用する」という方法です。
データ処理や電話対応など、簡単な作業でも業務量が多い場合、対応に時間が取れらてしまう仕事もあります。
これらの業務については、クラウドソーシングや電話代行などで業務委託をしていくことも可能です。
アウトソーシングを活用することで、自身の仕事に集中して取り組むことができるため、生産性の向上のための方法として、必要であれば検討してみるのも良いでしょう。
タイムマネジメントを実施する手順
次に、タイムマネジメントを実施する手順について詳しく説明していきます。
タイムマネジメントの手順として挙げられるのが下記の5つです。
1. タスクの洗い出しをする
はじめにやるべきこととして挙げられるのが、「タスクの洗い出し」です。
タスクの洗い出しを行っていく際に利用されるのが、「WBS」という手法になります。
WBSとは、「Work Breakdown Structure」の略で、「作業を分解して構造化する手法」としてタスクの洗い出しをする際に利用されています。
WBSは本来プロジェクトの管理に用いられることが多いですが、WBSで用いられる手法を利用することで、個人でのタスクの洗い出しを行うことも可能です。
具体的な手順は下記の通りです。
- 作業の洗い出し:業務上のタスクをカテゴリに分けてそれぞれの視点から洗い出しを行う
- タスクの期限を明確にする:洗い出したタスクの期限を明確にする
- タスクの工数を見積もる:タスクに必要な所要時間を見積もる
- 情報を整理する:カテゴリ別・期限別など自身でわかりやすいようにタスクを整理する
WBSを利用することで、この後に紹介する手順をスムーズに進めることにも繋がるため、覚えておくと良いでしょう。
2. 優先順位を決める
タスクの洗い出しを行った後にやるべきことは、「タスクの優先順位を決める」ということです。
タスクの優先順位を決める際には、「アイゼンハワーマトリクス」を用いると良いでしょう。
アイゼンハワーマトリクスとは、「7つの習慣」でも紹介されており、下記の4つの指標でタスクの優先度を明確にしていく手法です。
- 緊急のタスク&重要なタスク(=優先度A)
- 緊急ではないタスク&重要なタスク(=優先度B)
- 緊急のタスク&重要ではないタスク(=優先度C)
- 緊急ではないタスク&重要ではないタスク(=優先度D)
上記の指標は、WBSにて「タスクの期限や所要時間」を緊急度をして判断し、「自身が責任者の業務や上司に依頼された仕事など」を重要度合いの高いタスクとして判断して優先度A〜Dに当てはめていきます。
そして、タスクの中で優先度が高いタスクが「優先度A」、優先度の低いタスクは「優先度D」として仕事の優先度を決めることで、この後のスケジュールに落とし込む作業が楽になります。
3. 明確な目的や目標の設定をする
優先順位付けが終わった後は、「目的や目標の設定」をおこないます。
目的は、目標の設定や仕事の進め方に大きく影響してくるため、可能な限り目的は明確に設定するようにしましょう。
また、目標の設定を行う際には、「SMARTの法則」を利用することで、明確に目的・目標の設定をすることができます。
SMARTの法則では、下記の5つの指標で目的や目標における情報の整理をします。
- 具体性(Specific):目標が具体的で明確かどうか
- 計量性(Measurable):測定が可能な目標かどうか
- 実現性(Achievable):目標が達成可能かどうか
- 関連性(Relevant):目標は目的と関連性がある内容かどうか
- 期限(Time-bound):目標に期限が設定されているかどうか
上記の5項目の内容を満たしている目標を設定することができれば、PDCAサイクルを回すために必要な情報を網羅することができるため、積極的に利用していくようにしましょう。
4. 行動の細分化を行う
目的を明確にして、目標設定を行った後には、「行動の細分化」をしましょう。
行動の細分化をする際には、「HIROEN」の視点で実施していくと、より具体的に抜け漏れがなくタスクの細分化していくことが可能です。
- 聞く(Here):聞いておくべき情報などはあるか
- 伝える(Inform):伝えておくべきことはないか
- 依頼する(Rewuest):依頼しておかなければいけないことはないか
- 作業する(Operate):作業するべきことはないか
- 調査・検討する(Examine):調査・検討するべきことはないか
- 交渉する(Negotiate):交渉するべきことはないか
5. 実践する
タスクの細分化したら、あとは実践です。
タスクを実践していく際には、先述で紹介した「PDCAサイクル」を用いていくと良いでしょう。
洗い出したタスクの優先順位などを考慮して、計画(Plan)を立てて実践(Do)していき、想定と異なる点を確認(Check)し、改善策(Action)を練った上でPDCAを回していきます。
PDCAサイクルを繰り返していくと、タイムマネジメントをしていく中で、より効率的に生産性を高めていくことができるようになるでしょう。
タイムマネジメント研修のポイント
今回、タイムマネジメントについて解説してきましたが、組織において、社員にタイムマネジメントを身につけさせるにはどのようにすれば良いのか疑問に感じる方もいるではないでしょうか。
結論からいうと、社員にタイムマネジメントを促進していく場合、効果的なのが社内研修の実施です。
組織でタイムマネジメントを徹底できるようになると、職場環境の改善や社員の生産性向上につながります。
本項では、具体的に研修をする場合に、どのようなポイントを意識していくと良いのかについて解説していくので、参考にしてみてくださいね。
現状を把握させる
タイムマネジメント研修のポイントの1つ目が、「現状を把握させる」という点になります。
組織内でのルールや個人での仕事の進め方など、どのようにしてタスクの管理やタイムマネジメントがされているのかを把握することで、現在の課題を把握することが可能です。
具体的に現状を把握するために必要な手段として挙げられるのが下記の2点が挙げられます。
- チームメンバーで業務に対してのノウハウの共有の場を設ける
- 予定と実務のスケジュール表を一定期間記録をしてもらう
普段の業務において、自身の業務にかかっている時間を把握して記録に残している人はほとんどいません。
そのため、仕事の進め方やタスク管理の方法が俗人化してしまっていることで、改善すべき点を本人が把握できていないことが多く、結果として生産性の低い状態で業務を続けてしまっていることもあります。
なので、組織全体のタイムマネジメントを促進していくためには、ノウハウの共有をしたり、予定と実績の記録をとったりしながら、業務の改善点を洗い出すと良いでしょう。
グループワークによって情報を共有する
2つ目の方法が、「グループによって情報を共有する方法」です。
この方法は、チームの現状の把握をして、生産性の上げ方を共有する際に有効な手段となります。
グループワークを実施する際には、下記のようなポイントを意識して話し合えるようにすると良いでしょう。
- 現在工数や時間がかかっている業務は何か
- 工数や時間がかかってしまっている業務は、なぜ時間がかかっているか
- 業務を効率よくこなしている人はどのように仕事を進めているか
- 業務の中でアウトソーシングできる仕事はあるかどうか
現在取り組んでいる業務に対して、なぜ時間がかかるのかを把握した上で、俗人化しているノウハウをグループワークによって共有し、生産性を上げるための方法を洗い出していくことで、チーム内の生産性の向上につなげることも可能です。
タイムマネジメント研修の例
目的によって内容や進め方が変わってくる研修も多いですが、比較的短期間で実施でき、複数の研修の内容に共通している点について、1DAY研修のカリキュラムの例としてご紹介していきます。
【タイムマネジメント研修 1DAYカリキュラム 例】
手法 | 詳細 | |
---|---|---|
1. | 講座 | タイムマネジメントの基本的な情報や生産性の向上のメリットについて説明 |
2. | 個人ワーク | 1ヶ月の中で繁忙期の1週間の業務内容と所要時間について洗い出し |
3. | 個人ワーク | 「2.」で洗い出した業務に対して、なぜ時間がかかっているのか 自身で課題として考えられる点を抽出 |
4. | グループワーク | 「3.」で洗い出した課題点についてグループで共有。 メンバー同士で他に課題があるかどうか話し合う |
5. | 講座・個人ワーク | 業務上の課題に対して、「タイムマネジメントの方法」を参考に 改善方法の講義→個人ワークで改善点の洗い出し |
6. | グループワーク | 「5.」で洗い出した内容をグループ内で共有し、具体的な改善策があるか メンバー同士で話し合う |
7. | 講座・個人ワーク | 今回の研修で洗い出した課題と改善策のPDCAを回していくためのスケジュールを作成する |
研修の内容は複数存在しますが、社内で重要になってくるポイントと改善したい課題が明確になっている場合は、状況に合わせて必要な内容をカスタマイズしていくと効率よく研修を進めることができます。
また、外部から講師を呼んで研修を行うことも可能なので、必要に応じて外部講師の研修も検討してみるのも良いでしょう。
まとめ
以上、タイムマネジメントは何か、タイムマネジメントの効果や具体的な方法などについて解説してきました。
今回の内容をまとめると下記の通りです。
- タイムマネジメントは、時間の使い方をコントロールして生産性を上げていくためのスキル
- タイムマネジメントを実施するには、タスクの洗い出しや細分化、優先順位決めを行うと良い
- タイムマネジメントを組織に浸透させるには、研修を用いての現状把握が効果的
- タイムマネジメント研修は、自社の課題に沿ってカリキュラムを組むこと
タイムマネジメントができるようになることで、企業や個人にもさまざまなメリットがあるため、積極的に取り入れることをおすすめします。
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この記事を書いた人
すべらないキャリア編集部
「ヒトとITのチカラで働く全ての人を幸せにする」というミッションのもと、前向きに働く、一歩先を目指す、ビジネスパーソンの皆さんに役立つ情報を発信します。