LTVとは?意味や目的、おすすめの分析ツールについて紹介!

  • 2021.05.14

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Webを中心としてビジネスにおいて、新規顧客を増やすと同時に、既存顧客が継続的に自社商品やサービスを購入してもらえるようなマーケティング戦略を立てることが非常に重要です。

本記事では、Webマーケティング戦略の中でもとくに注目すべき指標である「LTV(ライフタイムバリュー)」の意味や目的、計算方法について紹介していきます。

LTVの意味と目的

LTV(ライフタイムバリュー)は「Life Time Value」の略で、日本語では「顧客生涯価値」と訳されます。

ある顧客が一生のうちに、どれだけ商品・サービスを購入/利用して利益がもたらされるのかを示す指標で、マーケティング戦略を考える際の重要な情報の一つです。

また、LTVを算出する目的は以下の通りです。

    • 収益の見込みを予測して事業計画を立てるため
    • マーケティング戦略における課題抽出や効果測定をおこなうため

LTVは、マーケティングだけではなく企業経営においても重要な指標として考えられているため、LTVを可視化して推移を把握することで、正しい経営や施策の立案につながります。

LTVが注目される理由

LTVが注目される理由の一つとして、国内市場の成熟が挙げられます。

国内の市場の中でも、商品やサービスは溢れている成熟期の市場において新規顧客の獲得は難しく、既存顧客を「ファン」として囲い込み、安定して収益を上げる手法に注目されるようになりました。

その結果、サブスクリプションなどの継続して利用してもらえるようなビジネスモデルも出てきたことにより、よりLTVの重要度が増してきたのでしょう。

LTVの活用方法

LTVの数値は収益予測やマーケティング施策の立案のために活用されることが多いですが、他にも、CAC(顧客獲得単価)やCPA(顧客獲得コスト)といった顧客獲得費用を決定する場面でも活用されます。

CAC(顧客獲得単価)やCPA(顧客獲得コスト)といった顧客獲得費用を決定する時には、将来的な収益予測であるLTVを基準として判断していきます。

LTVを基準とすることで、CAC値の適正値の計算式

    • LTV/CAC > 3x (LTVがCACの3倍より大きい)

こちらを活用して、数値を求めることが可能です。

そして、LTVを元に広告宣伝費などのCAC上限値を明確化することで、より積極的に新規顧客獲得への投資を進めることができるようになります。

上記のように、LTVの数値を軸として関連する要素の数値の設定をおこなったり、LTV値に関連する要素に関する目標設定や施策を立案していくなど、さまざまな場面で活用することができるでしょう。

LTVの計算方法

LTVを計算する際には、顧客単価・購買頻度・継続期間・継続率・新規顧客獲得コスト・既存顧客維持コスト・離反率などのさまざま要素を参考に計算していきます。

本項では、代表的な計算方法を4つ紹介しますので、記事の内容を参考に自社商品・サービスでLTV値の算出・分析をやってみてください。

また、商品・サービスの特性や利用目的などによって用いる計算式も変わってくるため、どのような場面で活用されるかも合わせて解説していきます。

LTV=平均顧客単価×平均購買頻度×平均継続期間

まずは、基本的な計算式を紹介します。

この計算式は、「顧客単価」「購買頻度」「継続期間」のそれぞれで平均値を把握出来ていれば、すぐに算出が可能です。

例えば、1回あたりの平均購入額が3,500円で、平均購買頻度が年6回(隔月購入)、平均継続期間が3年と仮定すると、以下のように当てはめることができます。

    • LTV=3,500円(平均顧客単価)×6回(平均購買頻度)×3年(平均継続期間)

上記の計算式であれば、LTVは63,000円となり、将来に渡って1人あたり63,000円の売り上げが期待できるということを把握することにつながるでしょう。

この計算式は、毎月や4半期に1回など、定期的・断続的に物品サービスの購入がおこなわれる場合に、用いることが多いです。

LTV=顧客の年間取引額×収益率×顧客の継続年数

この計算式は、商品・サービスの「収益率」を考慮した上でLTVを算出する際に用いられる計算式です。

例えば、年間取引額が80万円(平均購買単価:20万円、平均購買頻度:年4回)、収益率が50%、顧客の継続年数が5年だった場合は以下のように当てはめることができます。

    • LTV=80万円(顧客の年間取引額)×50%(収益率)×5年(顧客の継続年数)

上記の計算式の場合、LTVは200万円になり、1人あたり生涯に渡って200万円の売り上げをもたらすと予測することができるでしょう。

なお、この計算式では顧客獲得や既存顧客維持にかかるコストは考慮されていない点に注意してください。

LTV=平均顧客単価×収益率×購買頻度×継続期間-(新規顧客獲得コスト+既存顧客維持コスト)

この計算式は、「新規顧客獲得」や「既存顧客獲得にかかるコスト」を考慮して、「純粋な売上額」を算出したものです。

仮に、【LTV=顧客の年間取引額×収益率×顧客の継続年数】で参考にした数字を引用して、新規顧客獲得コストを30万円・既存顧客維持コストを20万円と設定した場合で計算してみましょう。

    • LTV=20万円(平均顧客単価)×50%(収益率)×4回(購買頻度)×5年(継続期間)-{30万円(新規顧客獲得コスト)+20万円(既存顧客維持コスト)}

上記の計算式で場合のLTVは150万円になります。

この計算式で算出したLTVがマイナスになってしまう場合、顧客を新規獲得や顧客を囲い込むほど収支が悪化してしまうでしょう。

そのため、LTVがプラスになるように「平均顧客単価×収益率×購買頻度×継続期間」で算出できる金額を増やしたり、新規顧客獲得・既存顧客維持にかかるコストを削減したりといった対策を検討していきます。

LTV=(平均顧客単価×年間平均購買頻度×粗利率)÷年間離反率

平均継続期間を把握することが難しい場合は、年間離反率を用いてLTVを算出します。

この計算式はマーケティングの現場で一般的に使われる計算式です。

SaaSサービスやサブスクリプションモデルのビジネスにおいて、継続率と同様に「離反率(チャーンレート)」は重要な指標です。

年間離反率とは、どれくらいの顧客が一定期間に商品・サービスの継続利用から離れてしまったのかを示す指標で、いかにリピート利用してもらえるのかを把握するために使用します。

仮に、平均顧客単価5,000円、年間平均購買頻度:4回、粗利率:70%、年間離反率:20%とすると、

    • LTV={5,000円(平均顧客単価)×4回(年間平均購買頻度)×70%(粗利率)}÷20%(年間離反率)

この計算式に当てはめることができ、LTVは70,000円となります。

離反率を計算式に当てはめることで、より正確なLTVの数値の算出することができるため、LTVを計算する時にはこの計算式を活用すると良いでしょう。

LTVを最大化する4つのアプローチ方法

ここまで、LTVの意味や目的・計算式などについて解説してきましたが、マーケティングの現場において重要なのは、「LTVを最大化すること」です。

しかし、LTVを最大化するといっても具体的に何をすれば良いのでしょうか?

本項では、LTVを最大化する4つのアプローチ方法について解説していきます。

顧客単価を上げる

LTVを最大化するため方法の一つとして挙げられるのが、「顧客単価を上げる」ことです。

顧客単価を上げる方法として考えられるのが、主に以下の内容になります。

    • 既存の商品やサービスの値上げ
    • 高価格帯の商品ラインナップの追加
    • 関連商品のセット販売やオプションの追加

顧客の単価を高めるためには、既存の商品やサービスの値上げをおこなう以外にも、「アップセル」や「クロスセル」という方法を活用していくのが効果的です。

    • アップセル:既存顧客に対して以前購入した商品やサービスよりも高額な上位のモデルに乗り換えてもらうったり、高額商品のラインナップを追加する方法  

      例:ITツールのプランのグレードアップ・容量別の料金設定(PC・携帯・ゲーム機など)
    • クロスセル:特定の商品に関連する商品を追加して購入を促したり、付加オプションを用意して追加をすすめる方法や、複数購入で割引など購入数を増やす方法  

      例:スマートフォンアクセサリー・携帯サービスにおけるオプション付与

購買頻度を増やす

LTVを高めるためには購買頻度を増やすという方法も有効です。

仮に、購買単価が4,000円で年間平均購買頻度が3回、平均継続期間が3年のケースで、年間購買頻度が4回になった場合、LTVは36,000円から48,000円となるので、約133%のLTV向上が期待できます。

上記のように、購入頻度を1回上げることができれば、それだけLTVを最大化することにつながるでしょう。

また、購買頻度を増やすためには、定期的に顧客フォローをすることが重要です。

具体的には、以下のような方法が挙げられます。

    • 定期的なメールマガジンの配信
    • 時期に合わせたリマインドメールの送信
    • 顧客訪問で顧客との接点を維持する方法

また、新商品を次々に投入し機能的・心理的陳腐化を誘うことで新商品購入を促すという方法も考えられるでしょう。

    • 機能的陳腐化;新しい商品が出てきたことで、既製品の機能的な価値が減ること
    • 心理的陳腐化:デザインや見た目を新しくして、既製品を時代遅れと認識させること

継続率や継続期間を伸ばす

SaaSやサブスクリプション型のサービスを提供している場合、ユーザーの継続率や継続期間の伸ばすことでLTVを高めることにつながります。

また、継続率や継続期間を伸ばすためには、顧客を飽きさせない施策工夫が必要です。

例えば、継続率を上げる方法としては以下のような方法が挙げられるでしょう。

    • 活用度を高める:導入サポートなどをおこない、活用方法のレクチューや顧客の習慣化をサポートをする
    • 期待度を高める:「こんな風になりたい」といった期待を生み出すように、様々な導入事例を紹介する
    • 顧客満足度を上げる:メールマガジンやDMなどを用いて継続的な情報提供やサポートをおこなう
    • 離脱率を減らす:解約した理由を分析し、ボトルネックとなる事柄を改善する

また、顧客接点チャネル・頻度を多く用意し、常に魅力的な商品・サービスを提供し続けることも、顧客のロイヤリティを高め、結果的に継続率アップに効果が期待できます。

新規顧客獲得/既存顧客維持のコストを下げる

購買単価や購買頻度が改善されたとしても、新規顧客獲得や既存顧客の維持に大きなコストがかかっている場合は、LTVは下がってしまいます。

そのため、一般的な指標値と比較して新規獲得コストが多すぎる場合は、営業・マーケティング手法を見直すようにしましょう。

また、広告や施策の中でも効果が出ている要素に絞って強化するという方法も有効です。

例えば、広告に関連する内容の場合には、リスティング広告よりも対象年齢層が低い場合には、SNS広告を活用したり、既存のLPの内容を見直してCV率(コンバーション率)を高める方法があります。

また、営業工数を削減し、購入見込みの高い顧客にアプローチする施策として、ウェビナーを開催するなど効率的に営業をかけていく方法を導入してみても良いかもしれません。

LTVを向上させるためのツール3選

LTVを最大化するためには、マーケティング支援ツールを使うことも有効な手段です。

しかし、マーケティング支援ツールにもさまざまなものがあり、何を使えば良いのかわからない人もいるのではないでしょうか。

そこで、最後に「LTVを上げる」という観点で有効なマーケティング支援ツールを3つ紹介します。

Hicustomer(ハイカスタマー)

HiCustomer(https://hicustomer.jp/)とは、主にSaaS企業向けに作られた国産のカスタマーサクセスプラットフォームです。

利用状況、コミュニケーション履歴、売上、契約情報などの様々な顧客データを集約分析し、サービス退会やアップセル(上位モデルへの乗り換え)の兆候を検知し、アラートが上がります。

また顧客データを収集・分析することで見えてくるアクションとその結果を蓄積することで、より再現性の高い施策を揃えられるので、離反率の低下や、顧客単価の増加に効果が期待できます。

Gainsight(ゲインサイト)

 

Gainsight(https://www.gainsight.com/)とは、アメリカで高いシェアを誇るカスタマーサクセスツールです。

「Gainsight のパワフルなカスタマーサクセスによって、既存顧客を最高の支援者に」というキャッチコピーの通り、既存顧客の維持・拡大に大きな導入効果が期待できます。

具体的な機能として、顧客に関する契約内容、購入・応対履歴など様々なデータを360度分析できるようにする「Customer 360」や、継続可能性に応じたスコアカードで顧客状態を把握し、解約・クロスセル・アップセルの兆候を検知します。

タイミングを逃さず能動的なアクション実行を支援するので、LTV向上には有効といえるでしょう。

coorum(コーラム)

coorum(https://coorum.jp/)は、法人向けユーザーコミュニティ管理ツールとして既存顧客の売上最大化・満足度向上を目的としたツールです。

公式サイトには導入効果として「LTVが120%」と紹介されており、LTV改善・向上には効果が期待出来ます。

具体的には、顧客データの分析を支援するための機能や、ナレッジ作成・蓄積機能などが代表機能です。

とくに、ナレッジ作成・蓄積機能については、顧客同士のQ&A・ナレッジ作成を支援し、既存顧客にとって重要かつ魅力的なコンテンツを提供できる環境を構築しやすくし、「ファン」として定着させることを狙っています。

まとめ

国内の飽和・成熟市場においてビジネスを行うのであれば、LTVを把握した適切なマーケティング戦略が欠かせません。

LTVが低い状態であれば単純に売り上げが上がっているように見えても、長期的に見ると損をするといった事態に陥る可能性があります。

LTVなどの様々な指標を組み合わせ、長期的な視野でマーケティング戦略を立案することが重要です。

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この記事を書いた人

すべらないキャリア編集部


「ヒトとITのチカラで働く全ての人を幸せにする」というミッションのもと、前向きに働く、一歩先を目指す、ビジネスパーソンの皆さんに役立つ情報を発信します。

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