予実管理とは?必要なポイントや進め方、便利なツールを紹介

  • 2020.10.31

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予実管理は企業の経営状況を把握するために、また経営課題を明確にするためには欠かせない業務です。

今回の記事では、予実管理を行う上でのポイントやその流れを解説するとともに、予実管理には欠かすことのできないおすすめのITツールと選択する際の注意点について紹介していきます。

予実管理とは

予実管理とは、企業経営において予算と実績を管理するマネジメント手法のことを指します。

企業が経営を行っていく上で、企業が決めた予算に対して、半期・四半期・月次などで実際に営業利益や経常利益がどのような推移を辿っているのかを管理していきます。

そんな企業経営に欠かせない予実管理ですが、具体的に目的やなぜ必要とされているのかについて解説していきます。

予実管理の目的

予実管理の目的は、営業利益や経常利益などの経営に関わる数値の予算と実績を管理して、問題なく経営がなされているかを確認することです。

経営目標を設定して、予算と実績を比較し達成状況を管理していくことで、予算と実績に乖離がある場合には、原因を特定するための指標となります。

また、予算よりも実績が大きく上回っている場合でも、成功要因の分析にも用いることが可能です。

予実管理の必要性

予実管理は、企業経営において必要不可欠です。

予実管理を徹底していくことで、予算と実績を定量的に判断することができます。

数値を細分化していくことで、企業全体や部門別の課題の明確になり、問題の解決策を打ち出していくことが可能になります。

予実管理を怠り、企業が掲げている目標への達成度が不明瞭になってしまうことで、経営における課題や解決すべき問題の発見が遅れてしまうこともあります。

その結果、課題に対して効果的な施策が打てなかったり、問題に対しての対応が遅れてしまうことで、経営に大きな影響をもたらす可能性もあるため、必ず予実管理は取り入れるようにしましょう。

予実管理のポイント

予実管理は、企業経営に際して重要なマネジメント手法で必要不可欠だということをご説明しました。

次に、予実管理を行っていく上で欠かせない5つのポイントについて紹介していきます。

1. 予算の設定は適正におこなう

一つ目は、「予算の設定は適正におこなう」です。

予算設定を行う上で大切な点が3点あります

    • 低すぎず・高すぎずの予算設定をする
    • 予算設定において抜け漏れがないように細分化して確認を行う
    • 予算配分は前年度比を参考に市場の動向も加味して設定する

予算を設定するときにありがちなのが、予算を高く見積もってしまうこと。

もちろん企業の経営に際して利益を最大限求めていくことは間違いではありませんが、予算の見積もりを間違えて達成ができないと、社員のモチベーションにも影響してしまうこともあります。

その他にも、予算設定における情報の抜け漏れをなくすために情報の細分化をしたり、市場の動向を考慮した上で月別の予算設定をしたりと、予算の設定が適正かどうかを常に意識しながら設定しましょう。

2. 事前準備を行う

予実管理をおこなうために、重要な項目として事前準備が挙げられます。

その中でも意識する点は下記の3つです。

    • どの項目を計測するのかを明確にして必要な項目を抽出する
    • 分析や入力の工数の削減、人為的ミスをなくすために入力項目は最低限に絞る
    • 数字の計測がスムーズにできるように自動化する仕組みを作る

数字の計測をスムーズにできるように極力自動化する仕組みを作ったり、業務の工数を増やさないように工夫をしたりすることは、実際に運用をしていく中で大切な要素です。

そのため、予実管理をおこなう際には、事前に測定する項目を明確に決めた上で予実管理の測定をどのようにするのかをあらかじめ検討しておきましょう。

3. 数字は随時確認する

予実管理の中で大切になるのが、タイムリーな数字の情報です。

数字を算出しても、その参考にする数値が1ヶ月前の情報であれば、これから対策を立てるにしても後手の施策しか取れなくなります。

そのため、タイムリーな数字の確認ができるように、計測を自動化して数字の反映をしたり、計測する際に1週間に1度は必ず全ての情報を更新させるなどの仕組みを作るようにしましょう。

4. 細かな数字にこだわりすぎない

予実管理の中で、細かな数字にこだわりすぎることも注意しなければいけない点の一つです。

数字の単位に大きなズレがあるのは問題ですが、1円単位や10円単位など、細かい数字に気を取られすぎると、本来注視するべき内容にリソースを割くことができなくなる可能性もあります。

全ての項目に対して細かく目を配るのではなく、必要性の高い予算を優先的に確認するようにしましょう。

5. 問題の原因を究明する

5つ目が、問題の原因を究明することです。

予実管理をしていく中で、必ず現状の問題などが明らかになってきます。

ここで原因の究明をせずに放置して、対策を取らずにいると、問題が拡大したり、同じ問題が発生して経営に影響が出る可能性もあります。

問題が起きた時には、そのままにせずに、問題が起きた背景や原因などを明らかにして、適切な対策をし、極力問題の種を潰していくようにしましょう。

予実管理の進め方

前項では、予実管理をする際に押さえておくポイントについて解説しました。

次項では、予実管理をどのように実行していくのか、4つのプロセスに分けて解説していきます。

1. 予算目標を立てる

まずは、予算目標を立てます。

目標の設定は、収益を予測して実情に合った目標を設定しまよう。

「予算の設定は適正に行う」の項目でも説明しましたが、下記3つのポイントを意識しましょう。

    • 低すぎず・高すぎずの予算設定をする
    • 予算設定において抜け漏れがないように細分化して確認をする
    • 予算配分は前年度比を参考に市場の動向も加味して設定する

予算目標を設定する際には、低すぎず、高すぎずの目標の設定をおこない、抜け漏れがないように各部門の予算をしっかりと確認した上で全体の目標と数値が一致しているかを確認ましょう。

また、予算を設定するときには、前年度の記録を参考にした上で、トレンドによる変動が合った場合はトレンド要素は抜いた上で、季節ごとの予算の変動を意識して設定をしていくことです。

前年度の数値がない場合は、競合の有価証券報告書などを参考にすると良いでしょう。

季節的な変動やトレンドによる変動がないかどうかを確認した上で、自社の長期目標から逆算した適正な数値を求めると、より正確で現実的な予算目標を設定することができます。

2. 定期的に決算をする

具体的には、決算は最低でも四半期に一度はおこないましょう。

毎月の予実の変動を見ながら3ヶ月ごとで事業の動向を見ていくことで、状況に応じた対策を最低4回は打つことが可能です。

これが仮に半期に1度となると、施策の効果測定や微修正もされないまま、不適切な施策を継続してしまうということも起こり得ます。

可能であれば1ヶ月ごとで数値の変動を確認していくことが、正確かつタイムリーな情報に対して施策を打つことができるので効果的です。

ただ、中には施策に対して効果測定が1ヶ月以上必要な施策もあるので、施策と効果測定にかかる時間を想定して確認していくようにしましょう。

チーム単位での予実管理は1ヶ月単位で

チーム単位で予実管理を行う場合は、可能な限り1ヶ月単位ですることが重要です。

現場における予実管理は、月ごとの数字を向き合って、一人ひとりが適切な対応をすることが目的のケースが多いです。

そのため、チーム単位で予実管理を行う場合は、毎月の数字を分析して個人の課題の明確化と対策を練っていくようにしましょう。

3. 実績がまとまれば予算と比較する

定期的に施策の軌道修正をした上で、実績の情報がまとまってきたら、予算と実績を比較して、実績が予算とどのくらいギャップがあるのかを確認します。

予算と実績を比較して乖離があった場合・乖離がなく想定通りだった場合のどちらでも要因分析をしていくことが可能なので、実績に対してなぜその結果になったのかを具体的に分析していくようにしましょう。

4. 分析し対策を実行する

実績を参考に要因を分析したのちに、要因に対して対策を実行します。

予実管理において、予算通りの実績になったとしても、必ずしも元々想定していた理由で予算通りに実績が積み重なったとは限りません。

また、予算と実績が解離していた場合は、なぜ乖離しているのかを分析して課題を明確にした上で対策を練ることが必要ですが、乖離が少ない場合でも詳細についてしっかりと分析して要因を探るようにしていきましょう。

予算と実績の分析を徹底すること、今後の市場の動向を探るためのヒントをみつけたり、今後起こりうるリスクを想定して対策できたりと、安定して経営していくことに繋がります。

予実管理のおすすめツール

ここまでは、予実管理のポイントや進め方について説明していきました。

ここからは実際に予実管理をおこなうためにオススメのツールを5つ紹介していきます。

Bizforcast

はじめに紹介するのが「Bizforcast(ビズフォーキャスト)」です。

Bizforcastは、Excelを利用した予実管理の導入や定着に実績が多いため、現在の予実管理をExcelでおこなっている企業にはオススメしたいツールです。

Bizforcastでは予実管理だけではなく、その他の社内で利用している会計資料や人事情報の情報も一括管理でき、柔軟性と利便性に優れたツールなので予実管理を含めてツールの導入を考えている企業は話を聞いてみると良いでしょう。

Diva System FBX

次に紹介するのが、「Diva System FBX(ディーバシステムエフビーエックス)」です。

このシステムを運営している株式会社ディーバは、統合会計パッケージメーカでは老舗として、多くの導入実績があるため信頼性は高いです。

多くの企業に導入されているため、自社にあったパッケージの提案なども行いやすく、エラーが起きた時にも過去のノウハウをもとにスムーズな対応が可能になります。

Oracle Planning and Budgeting Cloud Service

3つ目のツールは、「Oracle Planning and Budgeting Cloud Service(通称:Oracle PBCS)」です。

Oracle PBCSは、世界的DBメーカーであるOracle社が運営している製品の一つで、予算管理だけではなく、人員計画や設備計画、経営計画など、幅広い計画の策定や管理を行うことができるツールです。

Oracle PBCSの特徴として、データをクラウド上で管理することができることで、連結決算などより複雑で高負荷なデータなどをより効率的に管理を行うことが可能になることが挙げられます。

Sactona

4つ目に紹介するツールは、「Sactona(サクトナ)」です。

Sactonaの大きな特徴は、Microsoft製品との親和性が高いということ。

インターフェースはほとんどExcelと同じで、Microsoftの環境であれば違和感なく使用できます。

既存の管理データがExcelで、使い方は変えずに効率よく予実管理などをしていきたいという企業にはオススメのツールになります。

Manageboard

最後に紹介するのは「Manageboard(マネージボード)」です。

Manageboardの特徴は、操作性に優れいていて容易に予実管理をできる点、データをもとに分析資料の作成も簡単に作成することができるという点です。

他にもデータを参考に業務シュミレーションなどもできるため、数字だけではなく可視化したデータを参考に戦略を練りたい方にはオススメできるツールです。

予実管理ツールを導入するためのポイント

予実管理ツールについて説明してきましたが、どのツールを導入するべきか悩む方も多いと思います。

ツールを選ぶにしても、評判が良いツール、実績のあるツールを選択してもそれが必ず自社に沿ったツールということはありません。

だからこそ、自社の現状に沿った課題を解決することができるツールの選択が求められます。

最後に、自社の現状に合ったツールを選ぶ際の2つのポイントについて説明します。

1. 現行のシステムからの移行がスムーズにできるのか

ツール選択をする際に大切なポイントは、「現行のシステムからの移行がスムーズにできるか」という点です。

既存の予実管理やデータをExcelでしているのに、Excelとの親和性がなく管理をする体制を組み直さなければいけないと、運用をしていくまでの負担が大きくなってしましいます。

自社の既存の運用方法と親和性があり、今後の理想的な運用が可能なのか、利用者がすぐに使いこなせるかという点を考慮した上で選択するようにしましょう。

2. 会計基準に対応しているのか

2つ目のポイントは、自社の会計基準に対応しているかという点です。

会計基準にも、国ごとで基準が分かれる会計基準であるGAAP(Generally Accepted Accounting Principles)、国際会計基準のIFRS(International Financial Reporting Standards)があります。

日本における判断はJGAAPかIFRSの2種類に分かれますが、会計基準よって予実管理の方法が異なるのでにしか対応していない場合もあるので、自社が導入している会計基準を参考にツールを選ぶようにしましょう。

    JGAAPとIFRSの会計基準の違い

    JGAAP
    • 条文主義(詳細に規則を設定)
    • 損益計算書重視
    • 国内基準

    IFRS
    • 原則主義(明確な規則はなし)
    • 貸借対照表重視
    • グローバル基準

上記のように、JGAAPとIFRSで規則や重視すべき基準が変わってくるので、自社が取り入れている会計基準をもとに運用しやすいツールを選択することが重要です。

まとめ

予実管理は企業経営に必要不可欠ですが、さまざまな情報を参考にするため手間もかかり、多くの部署の協力が必要になります。

予実管理のためには、データ入力の数を減らしたり、工数を削減したりと、作業者の負担にならないように工夫を行っていくことで、継続して管理をしていくことが可能です。

    今回の記事のまとめ

    • 予実管理は、経営に関わる数値の予算と実績を管理して、問題なく経営がなされているかを確認するもの
    • 予実管理は、適切な数値設定が重要。他社の情報や時期的要因を加味して設定すること
    • 予実管理において、定期的な数字の確認と施策の修正は大切。実績の要因を徹底的に明確にすることで適切な施策を打つことにつながる
    • 予実管理をする際には、より工数を少なく効率的に運用できるようにすることが重要なのでツールは積極的に取り入れていくと良い
    • ツールの選択は、自社の既存の運用方法や理想の形に適したツールを選択すること。ツールを導入しても正確に利用できる人がいないと意味がない

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この記事を書いた人

すべらないキャリア編集部


「ヒトとITのチカラで働く全ての人を幸せにする」というミッションのもと、前向きに働く、一歩先を目指す、ビジネスパーソンの皆さんに役立つ情報を発信します。

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