目次
最近、ビジネスにおいてエンパワーメントが組織力を高める手法として注目されています。
本編では、エンパワーメントとはどんなものか、エンパワーメントを導入するうえでのメリット・デメリット、運用のコツなどをご紹介します。
エンパワーメントの定義
エンパワーメントとは
組織の一人ひとりが抑圧されずに力をつけ、世の中に大きな影響を与えること、個々人の権利を獲得することという意味です。
現代ではマネジメント層の権限を従業員に移譲して、個々の従業員が自律性を促進させ、能力開花に繋げていく教育手法を指します。
エンパワーメントが注目される理由
エンパワーメントは社会の変化が大きな要因として注目されています。
現在は昨日の常識が今日の非常識になるケースも珍しくありません。そのため、従業員にも社会の変化に対応できるような成長が必要です。
また、中途採用の人材の早期戦力化や管理職層の人材不足が発生した場合のリーダー人員の育成にも関心が高まっています。
それに対し、エンパワーメントは従業員に職務権限を付与し、社員の自主性を高め能力向上を図る教育手法として人材の早期育成に効果的です。
ビジネスにおけるエンパワーメントの使い方
ビジネスにおけるエンパワーメントの使い方は非常にシンプルです。
上司が持っている権限を部下に移譲し、仕事を遂行させ、且つ上司が口を出さず現場の問題解決させるのみです。
部下は上司の立場で物事を考えて行動するため、部下の自発性や客観的視点などあらゆる要素で成長を促すことができます。
エンパワーメントの3つのメリット
ここからはエンパワーメントがビジネスにもたらすメリットを3つお話しします。
それぞれについて詳しく解説していきます。
業務スピードや効率が向上する
従来は何かしら意思決定をおこなうとき、上司への指示・承認を必要とします。
しかし、エンパワーメントをおこなうことで部下一人ひとりの判断で業務に取り組むため、スピードが上がり、生産性の向上に繋がります。
とくに、営業職のようなスピード感を大事にする部署ではより効果的です。
モチベーションが向上する
エンパワーメントを実施し、意思決定権を従業員に付与することで自分の判断に対して責任感が増すようになり、自身の仕事の重要性を自覚することができます。
責任感を持ったうえで自発的な働き方ができると、従業員のモチベーションの向上も促すことができます。
マネジメント能力が身につく
エンパワーメントで裁量権を与えられることでマネージャーの権限を一部委譲することになります。
するとその従業員は、自らが問題解決に立ち向かうので考える力やマネジメント能力を身につけ、チームの中心的な存在になれます。
エンパワーメントの2つのデメリット
エンパワーメントにはメリットだけではなくデメリットも2つあります。
それぞれについて詳しく解説していきます。
組織の目的や方向性にずれが生じるリスクがある
エンパワーメントのメリットは、従業員がそれぞれ権限をもらい、裁量をもって業務を進められる点です。
その一方で、1つ1つの対応にばらつきがでてしまい、会社としてとして統一した判断・対応ができなくなる懸念があります。
それぞれの基準で判断することで組織の一体感が薄れ、目標達成が困難になる、顧客対応に差が出る可能性があるのは危険です。
人によっては逆効果で生産性が低下する
業務における経験・スキルが浅い人に業務権限を委譲すると、現場でトラブルを起こしたり、顧客からの信用を失われる可能性もあります。
また、未熟な状態で権限を委譲することは、本人にとって大きなプレッシャーになることもあるでしょう。
業務過多になる、委縮して正しい判断ができなくなるなど、業務生産性を下げてしまう可能性もあります。
誰でも権限譲渡をすれば良い訳ではなく、エンパワーメントを運用する場合は、従業員の失敗を想定してフォローをする体制の構築が重要です。
エンパワーメントを活用するための4ステップ
では、企業でエンパワーメントを活用するためのステップを紹介していきます。
それぞれについて詳しく解説していきます。
エンパワーメント推進を宣言する
エンパワーメントを成功させるためには、全社員の協力が必要不可欠です。
そのため、まずはエンパワーメントを推進することを宣言して、全社員への協力を要請し、エンパワーメントをおこなえるだけの企業風土の構築をしましょう。
ここで大事なことは、常にエンパワーメントを社員に意識させることです。
企業風土は1日ではできないため、宣言をしたあとも継続的にメッセージを発し続けましょう。
目的の合意と共感を得る
エンパワーメントを有効に運用させるためには、全社員にエンパワーメントとは何なのか理解してもらうことが必須です。
そのために、ミーティングや勉強会を実施して従業員全体にエンパワーメントの意味や効果、どんなメリットがあるのか認識してもらいましょう。
そのうえで、個々の目標設定とその目標の意義、達成することで得られるものを説明すれば社員の業務レベルの底上げに繋がります。
情報を公開し権限を移譲する
上司の権限を従業員に移譲する際は裁量の範囲を明確にし、その権限を行使するにあたって必要な情報も引き継ぎましょう。
付与した権限を正しく、有効に行使するために必要なものはすべて提供し、業務をおこなう上での認識のずれを防ぐことが重要です。
目的達成のための行動を認める、失敗を許容する
エンパワーメントを運用したら、一定期間は部下の評価・フィードバックをおこないましょう。
ここでは目標達成に向けて自発的にどのようなアクションをとったか、プロセスに対する評価をおこなうことが重要です。
部下が与えられた権限を使い、能動的な行動をしていれば、その行動の自由を認め、失敗を許したうえで、改善につなげるフィードバックをおこないましょう。
エンパワーメントを成功させる3つのコツ
最後に、エンパワーメントを成功させるコツを3つお伝えします。
それぞれについて詳しく解説していきます。
組織内の信頼関係を強固にする
エンパワーメントの導入には部下が主体的に行動して判断することも、部下の成長を助ける上司のフォローも重要です。
そのため、お互いが信頼関係を築いて、部下は業務に取り組む、上司は部下の業務を見守ることがエンパワーメントの成功に必要になります。
仕事のビジョンやミッションを共有すること
部下に権限を委譲するだけではあまり意味がありません。
その仕事がどういう位置づけで、ゴールとして何が求められているのかを明確に伝え、部下の判断をスムーズにさせる準備が必要です。
また、部下は権限委譲をすると目の前の状況だけで考えてしまう可能性があるため、会社全体のビジョンやミッションについてもアドバイスすると良いでしょう。
ですので、エンパワーメント実施前はミッションやビジョンの共有、実施後は業務後の振り返り、フィードバックをおこなうと効果的です。
社員の強みを活かした権限を移譲すること
社員の個性や強みを把握させたうえで、その社員にどうなって欲しいかビジョンを描きながら権限移譲をおこないましょう。
最終的にはその従業員の能力に適した権限委譲により、成功を実感し、弱点や課題の改善意欲が高まれば成功です。
まとめ
エンパワーメントはリスクのある教育方法です。
上司の業務権限を委譲し、部下に業務判断を任せれば、それだけ業務のミスが増える場合があります。
しかし、うまく活用すれば自主性に優れた組織となり、トップはマネジメント以外の業務に注力でき、会社としてもビジネスのスピード感を高めることが可能です。
エンパワーメントを取り入れる際には、会社全体でエンパワーメントの啓蒙活動をおこない、上司が部下を見極め、可能性を信じることから始めましょう。
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この記事を書いた人
すべらないキャリア編集部
「ヒトとITのチカラで働く全ての人を幸せにする」というミッションのもと、前向きに働く、一歩先を目指す、ビジネスパーソンの皆さんに役立つ情報を発信します。