目次
昨今、頻繁に使われるフィードバックですが、その目的やビジネスにおける効果的な活用法、気をつけるべきポイントなど例をまじえてお伝えしていきます。
フィードバックとは?
フィードバックについて目的まで理解しておくと有効な使い方が分かります。
そこでまずはフィードバックの意味や目的についてお伝えします。
フィードバックの意味
フィードバックとは、特定の行動に対して第三者が評価や指摘をおこなうことです。
もともとは工学系の言葉として用いられ、「帰還」という意味がありました。工学技術における帰還とは、システムの入出力で出力から入力へと戻す作業のことです。
「外側から内側へ戻す」という意味が転じ、現在の「第三者から本人へ評価を返す」という意味合いになりました。
フィードバックの目的
フィードバックの目的はすべて「人材の育成」にあります。具体的には以下です。
- 個々人がスムーズに目的や目標に到達できること
- 自分では気付きにくいミスや不備を修正できること
- ゴールへの道筋が明らかになりモチベーションが高まること
- 行動の良し悪しが判断できパフォーマンス向上につながること
他者からの評価やアドバイスによってモチベーションやパフォーマンスが向上することにより、社員を成長させていくことが可能です。
フィードバックの類語と違い
フィードバックにはよく似た言葉が存在します。それぞれ細かいニュアンスや使い方が異なるため、フィードバックとの違いを理解しましょう。
フィードフォワード
フィードバックとは過去の言動を参考に評価や指摘をおこなう方法ですが、フィードフォワードとは問題の指摘だけでなく、これから起こりうる問題に対する解決策を提示することです。
フィードバックとフィードフォワードの違いは、それぞれ英語表記にするとよく分かります。
英語表記は、「feed back」と「feed forward」です。
「back」は過去のことを、「forward」は将来のことを表すため、それぞれ反対の意味があることが分かります。
レビュー
レビューとは、特定の人物の言動に対する批評や論評のことです。フィードバックに似ていますが、レビューの場合、指摘までは行いません。
あくまで第三者から見た評価に留める点が大きな違いです。
コーチング
コーチングとは、特定の個人に対して技術や知識の指導をおこなうことです。
フィードバックは特定の言動に対してピンポイントに評価や指摘をおこないますが、コーチングは1から10まで手取り足取り指導します。
人材育成を行うコーチングという大枠のなかにフィードバックという一つの技術が含まれているイメージです。
フィードバックの3つの手法
フィードバックは、評価や指摘の方法によって3つのタイプに分かれます。
それぞれの手法の違いを理解し、状況に合わせて使い分けることが大切です。
1. サンドイッチ式
サンドイッチ式とは、ネガティブな改善案を伝える前後に相手を褒めるポジティブな評価をおこなう方法です。
ネガティブな内容を聞く前と後ろで良い内容を聞けるため、聞き手が過度に落ち込む心配がありません。
2. SBI式
SBIとは、「状況(Situation)・行動(Behavior)・影響(Impact)」の3つの頭文字を合わせた言葉です。
状況から影響まで順を追ってフィードバックをおこなうことで、よりスムーズに解決策へと導ける手法です。
3. ペンドルトン式
ペンドルトン式とは、フィードバックの間に何度も相手と話し合うことによって、それを受けた人の内省を踏まえて解決策へと導く方法です。
相手をより主体的にする効果があります。
ビジネスにおけるフィードバックの3つの活用法
ここでは、フィードバックの活用方法を3つのポイントに分けてお伝えします。
それぞれについて詳しく解説していきいます。
1. 製品やサービスの質を向上させる
フィードバックは上司や先輩からだけではありません。顧客からの意見や提案もフィードバックとなります。
たとえば、提供する製品のパッケージが開けにくいという意見が届いた場合、その意見を製品開発部や企画部に伝えることで、よりユーザビリティの高い製品開発へとつながります。
こうした意見は実際に商品やサービスを使わない限り分からないため、貴重なフィードバックです。
そのフィードバックを素直に取り入れることで、製品やサービスの品質向上が可能です。
2. 部下の業務を改善させる
フィードバックは、従業員の育成にも効果を発揮します。
とくに業務経験が深い上司や先輩によるアドバイスは、部下の業務改善に大きな役割を果たします。
仮にフィードバックをおこなわないと、業務を行う本人は自分の欠点や落ち度をなかなか発見できません。
そのままの状態を放置すれば、重大なミスにつながったり、会社に大きな損失を与えてしまう恐れもあります。
よって、上司や先輩が部下の業務を評価し、改善点やアドバイスを伝えることが重要です。
3. 自分自身を評価する
フィードバックは必ずしも他者がおこなうとは限りません。ときには自分で自分を評価することも大切です。自分自身を評価することは自らの行動を振り返り、今後同じミスを防ぐということです。
なぜなら、人は自らを評価して目標を立てたほうが、責任感を持つからです。責任を感じるほど真剣に業務に取り組み、同じ失敗をする可能性が低くなります。
本人が気付きにくい点については他者からのフィードバックが重要ですが、普段は自分自身を評価する癖付けが大切です。
フィードバックの効果をあげる4つのポイント
フィードバックが上手くいかない要因として挙げられるのが、単なるレビューになってしまっているケースです。
そのため、以下のポイントを参考に、改善につながるフィードバックを心掛けましょう。
それぞれについて詳しく解説していきます。
1. 具体的であること
評価するポイントに具体性が欠けてしまうと、相手は何を改善してよいか分かりません。
たとえば部下の仕事を遅いとき、「もう少し手を速めればいい」という意見は単なるレビューです。
一方、「まずは段取りを紙に書いて、完了した仕事をチェックしながら進めればいい」など内容に具体性を持たせると、聞き手が次にどのような行動をとればよいか判断をしやすくなります。
また、内容に具体性を持たせるには、数字やデータを使うことも大切です。数字やデータをもとに評価をおこなうと客観性が生まれ、相手も納得しやすくなるります。
2. 信頼関係を築く
もし相手と信頼関係がない状態でフィードバックをしてしまうと、ネガティブな意見を伝えるときに受け入れてもらえません。
人は誰しも、一定以上の信頼がある人から評価されることで「なるほど」と納得します。
最初に信頼関係を築いておくことは、相手をよく観察できるメリットもあります。相手のことを深く知ったうえで評価をおこなうほうが、より適切なアドバイスや提案につながります。
3. 相手が自発的に動くことを考える
フィードバックではアドバイスや提案が中心となります。しかし、それを指示のように感じてしまい、相手のいわれるがまま行動に移してしまうことも多いです。
当然それ以降は指示を待つだけの姿勢になってしまうため、自分で改善策を考えようとはしなくなります。
そのため、相手の自発的な行動を促す仕組みが必要です。
たとえば、フィードバックの後に簡単な課題を出すのも方法の一つです。課題があるということは具体的な行動が必要になるため、聞き手は知恵を出そうと努力します。
その結果、相手の自発的な行動を促せます。
やってはいけない3つの落とし穴
アプローチの仕方一つで改善につながることもあれば、反対にまったく効果が出ないこともあります。
そのため、以下でお伝えする3つのポイントには注意してください。
それぞれについて詳しく解説していきます。
1. 主観が入ったフィードバックをおこなう
アドバイスや提案をおこなうときは、主観が入ると説得力がなくなります。そのため、客観的な内容を意識することが大切です。
たとえば、フィードバックではよく「良い・悪い」という言葉が用いられます。
しかし、物事の良し悪しはフィードバックをおこなう人の主観に基づいた判断なので、「いったい何と比較して良い(悪い)のか」と問われればそれまでです。
そこで、数字やデータを使いましょう。「前年に比べて15%高い」や「A社よりも1万円少ない」など、客観的な情報が盛り込まれることで誰が見ても良し悪しが判断できます。
また、内容に説得力が生まれるため、相手も納得しやすくなります。
2. ほかのメンバーの前でおこなう
基本的にフィードバックは、話し手と聞き手の1対1が基本です。
フィードバックには批判的な言葉も多いため、皆の前で話してしまうと相手に恥をかかせてしまいます。
そして、人は他人から恥をかかされたと思うと、反逆精神を抱いてしまいがちです。
また、反発心を持たないまでも、大勢の前でネガティブなことをいわれた結果落ち込んでしまうこともあります。気持ちが沈んでしまうとモチベーションも上がらず、仕事のパフォーマンスが低下してしまいます。
よって、相手と1対1になるチャンスを見て話を持ちかけるようにしましょう。
また、男性の上司と女性の部下がマンツーマンで話をするときは、部屋の扉を開けておくなどの配慮も必要です。
3. 誤ったタイミングでフィードバックする
部下にアドバイスや提案をおこなうときは、早いタイミングがベストです。時間が経ってからフィードバックをしても相手が覚えていない場合があるため、アドバイスや提案がムダになってしまいます。
仮に覚えていた場合でも改善が遅れるのでおすすめはできません。
また、聞き手が忙しいタイミングも避けましょう。誰だって忙しいときに相手の話をじっくり聞く余裕はありません。
こんなときにフィードバックをおこなうと、適当に聞き流されてしまう恐れもあります。
そのため、相手に余裕のあるタイミングを推し量ることが大切です。
まとめ
フィードバックは社員教育をおこなう優れた手法として、ビジネスシーンの至るところで活用されています。
しかし、相手のことを考えて評価やアドバイスをしたつもりでも、かえって煙たがられる可能性もあります。その場合はフィードバックの方法や伝達のタイミングが間違っていないか、よく確認することが非常に大切です。
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この記事を書いた人
すべらないキャリア編集部
「ヒトとITのチカラで働く全ての人を幸せにする」というミッションのもと、前向きに働く、一歩先を目指す、ビジネスパーソンの皆さんに役立つ情報を発信します。