目次
インテグリティは仕事に対する考え方の一つで、取り入れることにより社会から信頼される素晴らしい企業へと成長できます。
今回は、その現代社会では欠かせない要素であるインテグリティについて、意味やメリットなど実例を交えながら詳しく解説していきます。
インテグリティとは
インテグリティとは、「誠実」「真摯」「公平」などの高潔な理念のことを指します。
以前は欧米の企業を中心に必要な価値観として用いられてきましたが、最近は日本の企業でも組織マネジメントに用いられるようになりました。
現代社会ではとくに「誠実さ」が重要視され、企業の経営者やマネジメント層に求められる資質の一つとされています。
インテグリティがある人の特徴
現代でもっとも影響力のある経済思想家のドラッカーは、著書「現代の経営」の中で、
"経営者に知識と魅力が備わっていても、インテグリティ(誠実さ)が欠けていれば組織は腐敗する。"
と唱えていて、インテグリティが欠如した人の特徴に次の5つを挙げています。
- 強みよりも弱みに目を向ける者
- 何が正しいかよりも、誰が正しいかに関心を持つ者
- 真摯さよりも、頭のよさを重視する者
- 部下に脅威を感じる者
- 自らの仕事に高い基準を設定しない者
これらの条件と反対の人物像がドラッカーの理想とする社会人像ということです。
つまり、インテグリティを持った人とは、「裏表がなく人間性を重視して組織をまとめ上げていく能力がある人物」といえます。
また、「誠実で人間的な器が大きく向上心のある人」とも解釈できます。
さらに、ドラッカーは同著で、
"経営管理者が学ぶことのできない資質、習得することができず、もともと持っていなければならない資質がある。(中略)それは、才能ではなく真摯さである。"
と語っており、仕事の才能よりも人間性が高潔であることを重要視しています。
インテグリティが重要視される2つの理由
インテグリティが注目されるようになったのは、主に2つの理由があります。
それぞれについて詳しく解説していきます。
コンプライアンス経営を確立するため
コンプライアンスには法令遵守という意味があり、企業は事業活動に関わる法律を遵守し、社会的責任を遂行する義務があります。
コンプライアンス経営の確立には、社員一人ひとりが正しい意思決定で業務に取り組めるよう、 企業がルールを定め、持続可能なシステムの構築が必要です。
ドラッカーは、「何が正しいかよりも、誰が正しいかに関心を持つ者」をインテグリティが欠如した者とみなしています。
つまり、「何が正しいか」を意識して、ビジネスすることを重要視しているのです。
組織内をクリーンな状態で維持するため
インテグリティが欠如した組織では、ルール違反やビジネスモラルなどが著しく欠如し、組織そのものが腐敗する可能性があります。
組織内を常にクリーンな状態で維持するためにも、インテグリティの考え方を取り入れることは大切です。
インテグリティの考え方が浸透していくと、ルール違反など強引なビジネス手法はできなくなり、トラブルも減少していく傾向があります。
インテグリティ・マネジメントの2つの方法
続いて、インテグリティ・マネジメントの方法を2つご紹介していきます。
それぞれについて詳しく解説していきます。
倫理的で正当な行動をとる
企業のインテグリティは「正直なコミュニケーション」「公平な処遇・競争」「特定の配慮」「組織的責任」「企業社会責任」「法の遵守」などがあげられています。
そのため、インテグリティ・マネジメントは、人間として真っ当な行為をおこなうように心がけることで実現できます。
利益優先で道を間違えそうになる場面もあるかもしれませんが、そんなときこそインテグリティに立ち返って、正しいビジネススタイルを貫きましょう。
公平性・法的義務を重要視する
インテグリティには、公平性とコンプライアンス(法令遵守)が重要です。
ドラッカーは「強みよりも弱みに目を向ける者」はインテグリティが欠如していると定義し、強者より弱者に寄り添う姿勢を基本としています。
インテグリティ・マネジメントの向上には、部下一人ひとりに対し、公平な目線で接することを意識しましょう。
また、社会のルールに則ったコンプライアンスを守ることで、企業としての信用度も高めることができます。
インテグリティが評価された実績のある日本企業3選
ここでは、インテグリティが評価された実績のある日本企業を3つご紹介していきましょう。
それぞれについて詳しく解説していきます。
伊藤忠商事
伊藤忠商事は2015年に、株式会社インテグレックス社が主催する「誠実な企業賞2015 Integrity Award 」にて最優秀賞を受賞しました。
この賞は、インテグレックスが実施した調査をもとに決定され、企業の社会的責任、企業倫理、コンプライアンス、内部統制について優れた取り組みを表彰するものです。
伊藤忠商事は、2013年にも同賞で優秀賞を受賞しています。
滋賀銀行
滋賀銀行も同様に、「誠実な企業賞2015 Integrity Award」で優秀賞に選ばれました。
滋賀銀行は行是・CSR憲章(経営理念)として「自分にきびしく 人には親切 社会につくす」を掲げ、企業の社会的責任を重要視しています。
また、CSR憲章にある「共存共栄」の実現のため、「滋賀銀行の行動規範」を策定し、「CSRのしがぎん」の確立に努めている企業です。
東レ
東レも、「誠実な企業賞2015-Integrity Award」の優秀賞を受賞しました。
「安全・防災・環境保全」を最優先課題とし、自社のグリーンイノベーション事業で、環境・資源・エネルギー問題への解決に尽力している企業です。
また、東レは工場における安全性を重視した生産活動も高く評価されています。
2020年5月には名古屋事業場が1220万時間無災害を達成し、厚生労働省労働基準局長無災害記録証(第三種無災害記録・業種化学工業)を授与されました。
まとめ
インテグリティは、企業がビジネス活動をしていくうえで、欠かすことのできない重要な論理です。
インテグリティの活用で、企業は健全な組織を運営しながら、公正なビジネスで収益を上げられるようになっていきます。
社内にインテグリティを浸透させるためには、組織を率いるリーダーやマネジメント層へのインテグリティへの理解が必要です。
誠実で信頼される企業となるために、インテグリティ教育を社内で実践してみてください。
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この記事を書いた人
すべらないキャリア編集部
「ヒトとITのチカラで働く全ての人を幸せにする」というミッションのもと、前向きに働く、一歩先を目指す、ビジネスパーソンの皆さんに役立つ情報を発信します。