目次
「オープンイノベーション」というビジネス用語を聞いたことがありますか?
今回は、オープンイノベーションの定義から、導入にあたってのメリット・デメリット、成功事例など詳しく解説していきます。
オープンイノベーションとは
オープンイノベーションとは、他社の技術やアイデアを活用しながら、自社で革新的なサービスや製品を創出するビジネススタイルです。
組織内部の改革を促進するために、外部の資源を活用して自前主義から脱却することを目指します。
ここでは、イノベーションの意味や、反対の意味合いを持つクローズドイノベーションとの違いについて、簡単に解説をしていきましょう。
イノベーションの意味
イノベーション(innovation)とは「改革」「革新」を意味する英単語です。
イノベーションは、物事の「新しい切り口」「新しい発見」などを表し、新しいアイデアから新たな価値を生み出して、社会的に大きな変化をもたらします。
イノベーションは、企業の発展になくてはならないものです。もし、真新しい斬新なアイデアや技術などを創造しなければ、革新的な製品やサービスは生まれず、市場はマンネリ化してしまいます。
モノ、サービス、ビジネスモデルなどに、新しい考え方や技術を取り入れて新たな価値を生み出していかないと、企業は魅力を失ってしまうのです。
クローズドイノベーションとの違い
クローズドイノベーションは、製品開発や技術改革で必要とされる技術や知識を、自社の資源だけでまかなうことです。
社内で保有している技術や研究だけで開発するため、オープンイノベーションと比較すると、開発そのものが閉鎖的になり、成長が見られない傾向にあります。
よって、自前主義のクローズドイノベーションは、顧客ニーズの多様化や複数の革新的な技術による製品の開発が進む現代において、限界が見えてきました。
その限界を超えるべく、自社が持っていない技術を外部から探す、提供されるという「自前以外の技術を活用する」考え方が生まれてきたのです。
オープンイノベーションの3つのメリット
オープンイノベーションの活用における経営上のメリットは大きく3つに分けられます。
それぞれについて詳しく解説していきます。
事業推進のスピードがアップする
第1のメリットは「事業推進のスピードがアップする」ことです。
通常、新しい技術を開発したり知識を得たりするには様々な調査や研究が必要で、時間もかかりました。
しかし、社外から情報を取り入れることで時間を削減でき、生産性を高められるのです。そのおかげでIT技術の成長は著しい発展を遂げています。
自社だけの技術力や開発力、アイデアでは市場の変化に追いつけないほど、製品やサービスのライフサイクルは短く、オープンイノベーションを活用した生産性のスピードアップが企業間で注目されているのです。
開発コストを大幅に削減できる
第2のメリットは「開発コストを大幅に削減できる」ことです。
オープンイノベーションを活用すれば、時間の短縮だけでなくコストも減らせるようになります。
新しい製品やサービスを開発するには、莫大な人的費用や開発費用がかかりますが、他社のアイデアを利用することで、それらの費用が削減できるのです。
自社の知識や技術が拡大する
第3のメリットは「自社の知識や技術が拡大する」ことです。
他社が持つアイデアを自社のビジネスに活用すると、新しい知識や技術のノウハウを取り入れることができます。
それにより、自社の技術だけでは不可能だったことが可能になり、市場が求めている幅広いニーズに対応できるようになるのです。
オープンイノベーションの3つのデメリット
オープンイノベーションにはメリットがある一方で、デメリットも存在します。
ここからは、代表的なデメリットを3つご紹介していきましょう。
それぞれについて詳しく解説していきます。
自社の技術情報が流出する
第1のデメリットは「自社の技術情報が流出する」ことです。
オープンイノベーションは他社の情報を活用していきますが、それと同時に自社が所有するアイデアや技術も他社に提供することになります。
そのため、重要な情報や技術が流出してしまうリスクもあるのです。
オープンイノベーションを実施する際には、他社に流しても良い情報と漏洩してはならない情報の線引きを明確にしておきましょう。
自社の研究開発力が弱まる
第2のデメリットは「自社の研究開発力が弱まる」ことです。
オープンイノベーションを活用すれば、簡単に貴重な情報を入手できますが、頻繁に他社の情報ばかり頼ってしまうと、自社の開発力や技術力が衰えてきます。
オープンイノベーションを実施する際には、斬新な技術やアイデアを取り入れてから、さらに優れた製品やサービスを開発するようにしましょう。
収益の分配
オープンイノベーションによって生み出された収益は、自社だけでなく、情報提供元の企業と分け合う必要があります。
そのため、収益の分配をどのようにするか事前に決めておきましょう。
後々トラブルにならないように分配率をきちんと明確にすることが重要です。
オープンイノベーションを成功させる3つのコツ
新しい製品やサービスを生み出すために、オープンイノベーションは欠かせないものですが、成功させるにはいくつかコツがあります。
ここでは、3つのコツについてご紹介していきましょう。
それぞれについて詳しく解説していきます。
メリットとデメリットを把握する
前述のように、オープンイノベーションを導入するにあたっては、メリットだけでなくデメリットもあります。
メリットとしては、自社では調達できない知識や技術を活用できますが、デメリットとして自社の技術やアイデアなどの情報が流出するリスクもあるのです。
社外に情報を公開する際には、情報が流出してしまうリスクも考え、公開しても良い情報と公開してはいけない情報をしっかりと線引きするようにしましょう。
パートナー企業探しに支援サービスを利用する
オープンイノベーションを導入する際に欠かせないのが、提携をおこなう企業探しです。
ただ、多くの企業の中から自社の要望に応えられるパートナーを探すのは、容易ではありません。
そこで、オープンイノベーションの支援サービスを利用するのがおすすめです。
これは自社の目的やニーズを登録すると、他社との連携に関する支援サービスを受けられます。
自社の目的にあった支援を受けられるよう、目的を明確にした上で、支援サービスを選択していきましょう。
担当者は頻繁に替えない
オープンイノベーションの導入担当者は、頻繫に替えないようにしましょう。
オープンイノベーションは社外とのやり取りするが多く、担当者が頻繁に替わるとコミュニケーションに支障が出て、効率が悪くなってしまいます。
そうなるとオープンイノベーションを進めづらくなるので注意してください。
会社ごとに担当者を固定しておくと、メンバー同士もストレスなく仕事に取り組むことができます。
オープンイノベーションの成功例3選
オープンイノベーションに成功すると、会社の業績やブランディング力が上がります。
ここでは、オープンイノベーションに成功した3社をご紹介しましょう。
それぞれについて詳しく解説していきます。
日立製作所
日立製作所は、イノベーション事業の創生を発展させるために、2015年から研究開発体制を再編成しています。
東京、北米、中国、欧州の4地域に社会イノベーション協創センター(CSI)を設立して、スマホを用いたキャッシュカードレス金融取引サービスの実現化に成功しました。
また2016年にはアメリカのブロックチェーン技術の国際共同開発プロジェクトにも参画し、金融サービスにIT技術を活用する「フィンテック」分野への参入を強化しています。
CSIの設立後も変化の激しい金融サービス分野において、革新的な解決方法を素早く提供することで、グローバル社会が抱える課題解決に貢献する活動が注目されています。
富士ゼロックス
富士ゼロックスは、様々な企業、大学、研究機関、グローバルな顧客や地域コミュニティーとオープンイノベーションを展開しています。
2012年から山梨大学と「グローバル人材育成のためのICTを活用した、新たな教育方法と技術」をテーマに、反転授業を活用した教育改革で、学生の成績アップに成功しました。
また2016年には慶應義塾大学SFC研究所と、3Dプリント用データフォーマット「FAV」の共同研究をおこなっています。
その結果、物質の内部構造・色・材料・接合強度を含めた3次元の複雑な情報を保持し、複雑な工程を経ずに立体物をより表現力高く出力できるようになりました。
トヨタ自動車
トヨタは異業種企業と共同することにより、新しい時代に即したクルマのコンセプト(電動化、ネットワークと接続してデータを収集・発信するクルマ)を確立しようとしています。
インターネットを通じて、モノや場所、スキルや時間などが共有できる新しいビジネススタイルへ適応していくためにも、従来にはなかった発想力が必要なのです。
新しいクルマのコンセプトを実現するために、自社だけでは開発が難しい要素を他社から取り入れ、自社の技術力と合わせて新しいスタイルのクルマを目指す、オープンイノベーションを重視した経営に力を入れています。
まとめ
オープンイノベーションは、企業が時代に即した新しい製品やサービスを開発するために、世界中で取り入れられているビジネススタイルです。
自社の資源だけではできなかったプロジェクトが、他社との連携により、革新的で優れた結果を生み出せるようになっています。
自社製品開発や提供スピードが向上するだけでなく、付加価値の高い技術の開発も可能になり、社会への貢献度も高いのです。
皆さんもぜひオープンイノベーションを活用してみてください。
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この記事を書いた人
すべらないキャリア編集部
「ヒトとITのチカラで働く全ての人を幸せにする」というミッションのもと、前向きに働く、一歩先を目指す、ビジネスパーソンの皆さんに役立つ情報を発信します。