目次
企業によって経営戦略が異なる中で、どのような市場占有率を目指していけば良いのでしょうか。
今回はその種類や一般的な目標数値、算出方法を紹介します。
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市場占有率とは
市場占有率とは市場全体において、その製品やサービスが占める割合(比率)の事を指します。
計算方法は売上高による方法が多いですが、販売数や契約数、ユーザー数などから求める場合もあります。
市場占有率は、以下2つに分類されます。
それぞれについて詳しく解説していきます。
絶対的市場占有率
絶対的市場占有率は、製品売上がその市場において占める割合の事を指します。「その製品が属する市場」は以下の2種類です。
それぞれについて詳しく解説していきます。
全体市場のシェア
全体市場では、その製品の売上が市場全体のどれくらいの割合なのかを表します。
ここでは売上の定義(販売個数なのか、金額なのか)と、何の市場であるかが重要です。
市場には定義がないため、自分でどの市場での占有率を上げていくか線引きをする必要があります。
例えば車全体の市場なのか、軽自動車の市場なのかといった具合です。
対象市場のシェア
対象市場とは、ある特定の年齢やエリアなどの限定した市場の事を指します。
例えばスーパーマーケットのサミットストアは、東京都を中心に店舗展開をしているので 東京都という特定の地域での市場占有率は高いのですが、市場全体ではイオンなどの大手には敵 わないという事です。
相対的市場占有率
相対的市場占有率は競合他社の絶対的市場占有率の何パーセントを占めるか、その割合を大手企業と比較します。
複数の大手企業と比較して、市場占有率を算出する事もあります。
市場占有率の重要性
市場占有率が高いほど、市場への影響力や顧客の獲得数が増していきます。世間での信頼度が上がるため、新規の顧客にも選ばれやすいからです。
そうなると価格もリードできるので生産性を高める、収益を上げる事が可能になり、戦略も立てやすくなります。
ただ、市場を取り巻く環境は複雑なため、把握を間違えると途端に戦略が狂う事にもなるため注意が必要です。
市場占有率の6つの目標値
市場占有率の指標には、アメリカの数学者ケープマンが提唱した、6段階の目標値があります。
それぞれについて詳しく解説していきます。
1. 独占的市場シェア
独占的市場占有率:73.9%
この指標を超えると、市場を独占している状態になります。短期間で逆転される事はまずありません。
上位2社の合計が73.9%以上だと「二大寡占」、上位3社の合計が73.9%以上だと「三大寡占」と呼びます。
2. 相対的安定市場シェア
相対的安定市場占有率:41.7%
3社以上で競っている場合に、指標が41.7%以上だと業界内では強者であり、地位が安定しているといえます。
これは「40%目標」とも呼ばれ、各社が戦略を立てる際の目安にされる事が多いです。
3. 市場影響シェア
市場影響市場占有率:26.1%
その市場をリードする企業となれるかどうかのボーダーラインです。
業界トップの企業が26.1%ならば実質1位になる場合が多いのですが、すぐ逆転される可能性もあります。
その企業が業界2位であるならば、この数値は業界に対して強い影響力があるといえます。
4. 並列的競争シェア
並列的上位市場占有率:19.3%
業界トップの企業が19.3%だと、その業界をリードする企業はなく複数社が僅差で競っている場合が多いです。
しかし、この指標を超えると競争から頭ひとつリードできるので競争が激しい市場では、ひとまず19.3%を目標値に設定する事もあります。
5. 市場認知シェア
市場認知市場独占率:10.9%
競合他社やユーザー、消費者から認知される数値です。
ただし、影響力が小さいため、新商品の発表や値下げをしてもあまり注目される事はありません。
6. 市場存在シェア
市場存在市場占有率:6.8%
ユーザーや消費者にとっては他人に言われて思い出すボーダーラインであり、業界での競争についていける最低限の数値です。
この数値を超えられなければ撤退を考えたほうが良いですが、新規参入の場合は最初の目標となる数値です。
市場占有率のデータが必要な場面4選
市場占有率は以下4つの場面で考える必要があります。
それぞれについて詳しく解説していきます。
マーケット内での自社のポジションを把握したい時
一つ目は、自社が市場においてどのようなポジションにいるか把握したい時です。
トップを目指せるのか、上位企業を追い越せるのかなど現状がわかると、今後の目標値が設定しやすくなります。
自社のマーケットに対する影響力を把握したい時
二つ目は、市場全体でどの程度の影響力を持っているのかを把握したい時です。
競合他社との差を分析することができるため、戦略が明確になり、影響力の底上げに繋がります。
マーケットシェアの特徴を把握したい時
三つ目は、市場占有率の特徴を分析したい時です。
対象市場での市場占有率を把握すれば、自社の特徴を分析し、それぞれのターゲットへのアプローチやコンセプトなど実際の戦略を立てる際に役に立ちます。
新規参入したい時
四つ目は、新規参入の検討をしている時です。
競合他社が何社あるのか、シェア率はどうなのかなど把握してから参入するか判断したり、参入する場合のアプローチを考えましょう。
市場占有率の計算方法
最後に、市場占有率の計算方法を紹介します。
それぞれについて詳しく解説していきます。
絶対的市場占有率の求め方
絶対的市場占有率(%)=自社商品の売上÷市場の総売上
例えば、スマートフォン製品の市場売上額が1億円、自社のスマートフォン製品の売上額が2500万円の場合、絶対的市場占有率は、
2500万円÷1億円=25%となります。
相対的市場占有率の求め方
相対的市場占有率(%)=自社製品の絶対的市場占有率÷競合他社製品の絶対的市場占有率
スマートフォン製品の市場売上が1億円、自社のスマートフォン製品の売上が2500万円、 競合他社のスマートフォン製品の売上が5000万円とすると、
自社の絶対的市場占有率=2500万円÷1億円=25%
他社の絶対的市場占有率=5000万円÷1億円=50%
すなわち自社の相対的市場占有率は、25%÷50%=50%となります。
まとめ
絶対的市場占有率と相対的市場占有率、どちらも把握する事は経営戦略を立てる上でとても大切です。
とくに相対的市場占有率を重視し、業界トップに対してどの程度なのかを把握すれば、売上や市場占有率のアップを目指す際に役立ちます。
絶対的市場占有率では30%もあるのに、相対的市場占有率では10%しかという事態に陥る前にしっかりと戦略を立てていきましょう。
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この記事を書いた人
すべらないキャリア編集部
「ヒトとITのチカラで働く全ての人を幸せにする」というミッションのもと、前向きに働く、一歩先を目指す、ビジネスパーソンの皆さんに役立つ情報を発信します。