シナジー効果を生み出す方法とは?メリットや注意点を徹底解説!

  • 2020.09.30

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シナジー効果は、企業の成長にとって欠かせません。個人では克服できない課題であってもシナジー効果によって解決できることがあります。

この記事では、シナジー効果の定義や種類、シナジー効果の生み出し方から得られるものまで解説します。

シナジー効果とは

一般的な意味でのシナジー効果とは、2つの要素を組み合わせることで生じる相乗効果のことです。相乗効果の他には、相乗作用、共同作用という言い方をするケースもあります。

いずれも、2つ以上のものが作用し合うことで効果や機能が高まることを指す点では同じです。

経営学におけるシナジー効果とは、 複数の企業や企業内の異なる事業部門などが共同して得られる相乗効果を指します。

企業や事業部門、人などが個で働くよりも、共同で働いたほうがその効果や機能が高まる状態のことです。

例えば、複数の企業や事業部門が協力することにより、ブランド価値を上げたり大きな利益を得たりすることがあるでしょう。
代表的な例は、M&Aや共同運営、共同投資、業務提携などです。

シナジー効果の反対語、アナジー効果

シナジー効果の反対語としてアナジー効果があります。

アナジー効果とは、2つ以上のものが提携した結果、双方にデメリットが目立ち、価値が減少することです。

マイナスシナジーやネガティブシナジー、ディスシナジーなどと呼ぶこともあります。

アナジー効果は、2つ以上のものが提携することで意思決定が遅れたり弊害が生じたりするデメリットが目立つ状況を指すのに対して、シナジー効果は単独の場合よりも効果や機能が高まることを指すという違いがあります。

シナジー効果の3つの種類

次に、シナジー効果の3つの種類をご紹介します。

それぞれについて詳しく解説していきます。

事業シナジー

事業シナジーとは、複数が提携することにより得られる事業推進に関するシナジー効果です。

具体的には、コスト削減やスケールメリット、最適な人材の獲得などが挙げられます。

複数の事業者が提携すると、総務部や人事部、経理部など重複する事業部門が生じるため、 その事業部門を見直し、人員カットやコスト削減などを実行します。

また、複数の事業者が統合することで、1つの商品にかかるコストを減らし、純利益を増やすことで競合他社に対する優位性を高められます。

さらに複数の事業者で技術やノウハウを共有でき、多くの候補の中なら最適な人員配置を決められることもメリットです。

財務シナジー

財務シナジーは、企業のお金や税金に関するシナジー効果です。

具体的には、余剰資金活用と節税対策が挙げられます。

過度に余剰資金を置いておくよりも将来有望なベンチャー企業に投資したり、優秀な人材を獲得するために使うほうが企業にとって有益です。

M&Aや合併、買収をおこなうことで余剰資金が増え、有効活用できるメリットがあります。

また、繰越欠損金といった債務を受け継いで自社に計上すると黒字を圧縮し、節税効果を期待できます。

組織シナジー

組織シナジーとは、協働することで、単独で活動するよりも効果や機能が高まるシナジー効果のことです。

チームワークのよい組織では互いの短所を補って長所を活かせるので、業務の効率化を図れます。

一人ひとりが活躍できれば、モチベーションが向上し、切磋琢磨できるよい状況を持続可能です。

シナジー効果によって得られるもの4選

ここからはシナジー効果によって得られるものについてご紹介します。

それぞれについて詳しく解説していきます。

組織マネジメントの強化

組織の目標を達成するために運営・管理できる人材候補が増えるため、組織マネジメントの強化を図れます。

リーダーには、リーダーシップや課題解決能力、マネジメント能力などが求められますが、いずれの能力においても高水準の人材はそう多くありません。

このような自社に適任者がいない場合、他社と共同することで補うことができます。

売り上げの強化

2つ以上の会社が提携することにより、新たな技術革新をおこなえることもあります。

その結果、競合他社よりも抜きんでた業績を挙げた例も多いです。

コスト削減

共同することで重複した箇所を削減したり、大量仕入れをすることが可能です。

さらに、物流を統一することでコストカットを果たせるというメリットもあります。

資金調達力の向上

競合他社よりも優れたブランド力や競争力があると、資金調達において有利に働きます。

投資は将来を有望できる会社に集まりやすいからです。

シナジー効果を生み出す4つの方法

シナジー効果を生み出すためにおこなう方法は4つあります。

それぞれについて詳しく解説していきます。

業務提携

業務提携とは、異なる技術やノウハウを持つもの同士が事業提携をして、短所を補い長所を活かすことで相乗効果を得ることです。

例えば、自社の人員不足やスキル不足の際におこなわれ、生産性の向上や市場の開拓が可能になります。

企業同士だけではなく、企業と個人間で業務提携がおこなわれることも多いです。

多角化戦略

多角化戦略とは、企業全体の売上アップを目的に、主力事業とは別の事業に力を入れることです。

多角化戦略は以下の4つに分けられます。

それぞれについて詳しく解説していきます。

水平型多角化戦略

水平型多角化戦略とは、既存顧客を対象としたもので、同じ商品・サービスや市場に拡大するものです。

例えば、一般消費者向け自動車メーカーが業務用の自動車やバイクを生産・販売するケースが考えられます。

水平型多角化戦略は、既存の生産技術や流通経路を活用する方法です。

垂直型多角化戦略

垂直型多角化戦略とは、生産技術の関連性は低いものの、それまで対象としていた市場と似たところに焦点を定めて商品やサービスを展開することをいいます。

例えば、チェーン飲食店が、食材の生産や流通もおこなうことです。

集中型多角化戦略

集中型多角化戦略とは、生産技術の関連性が高い商品やサービスを今まで対象としていなかった市場へ投入することをいいます。

例えば、デジタルカメラに使用しているレンズを医療機器に応用して展開したり、テレビの生産技術を利用してカーナビを生産することです。

集成型多角化戦略

集成型多角化戦略とは、生産技術も市場も関連性がない事業を展開することをいいます。

例えば、清掃業者が飲食店を出店したり、コンビニエンスストアが電子決済事業に乗り出したりすることです。

M&A

M&Aとは、企業を買収したり合併することで、新たな技術やノウハウの獲得、節税対策をおこなうことです。

仕入れのコスト削減や売上アップ、リスク分散など多くのメリットがあります。

グループ一体経営

グループ一体経営とは、複数のグループ会社を持つ組織が共通業務を一本化することで無駄を省き、コストを削減することです。

とくに、共通する業務やノウハウが多い金融業界においてシナジー効果が発揮されることが多くあります。

シナジー効果を生み出すための3つのポイント

シナジー効果を生み出すための3つのポイントをご紹介します。

それぞれについて詳しく解説していきます。

PMIの徹底

まず、PMI(Post Merger Integration)の徹底が重要です。PMIとは、M&A後の統合プロセスのことをいい、経営統合・業務統合・意識統合の3段階から成り立ちます。

PMIが不十分ですと、従業員の中に軋轢が生じたり内部対立が起こることがあります。この状況が続けば、業務効率が著しく低下するでしょう。

PMIの設計に関しては、専門家の意見を聞き入れ、慎重に作成していく必要があります。

M&Aのタイミング

シナジー効果を生み出すためには、M&Aのタイミングをしっかり見定めないといけません 。

企業の市場価値はその企業の内的要因だけでなく、市場動向や景気といった外的要因にも大きく左右されるためです。

M&Aの最適なタイミングを判断するのは簡単ではないので、まれに失敗するケースがあります。

事業計画の早期立案

事業計画を早期に立案し、早いうちからどういった将来を目標とするか決めておかないといけません。

そのために、M&Aは必要なのか、もし必要ならどの企業を対象とするかなどを十分に考慮する必要があります。

また、事業計画を修正する必要がないか検討する機会を設ける必要もあります。状況は日々変化するため、臨機応変に対応しましょう。

シナジー効果の2つの注意点

シナジー効果を生み出す際の注意点を2つご紹介します。

それぞれについて詳しく解説していきます。

組織再編による疲弊

組織を再編する際には、意思決定権を持つ人材の選定や条件の折衝など、さまざまな面で慎重に重要な決断を下さないといけません。

十分なシナジー効果を得るためには、組織再編後の取り組みが大切です。従業員が納得できる形でなければ意思統一は難しくなります。

人材の流出

企業を統合することで組織理念や風土が変化し、従来の企業に愛着があった従業員には魅力のない企業になり下がってしまうリスクがあります。

また、組織再編で人事に不満を感じた人が退職するケースも十分考えられます。

シナジー効果の実例を紹介

ここからはシナジー効果の実例を紹介します。

それぞれについて詳しく解説していきます。

ソフトバンク

盛んにM&Aをおこない、シナジー効果を享受している会社として株式会社ソフトバンクが挙げられます。

1981年に創業の株式会社ソフトバンクは、2004年に日本テレコム株式会社に対してM&Aをおこない、国内通信事業の拡大と法人営業の強化を図りました。

その後、ボーダフォン株式会社やヤフー株式会社などに対してM&Aをおこない、勢力を増していき、現在も積極的なM&Aをおこなっています。

日本たばこ産業

海外で次々に買収を進めてシナジー効果を享受した会社として、日本たばこ産業(JT)があります。

従来は日本におけるたばこ製造が独占的に認められていましたが、民営化によりさらに積極的な海外展開をおこないました。

1999年にRJRナビスコの海外たばこ事業を傘下に収めてから、海外のたばこ会社を次々と買収していったのです。

現在、約半分の売上は海外によるもので、世界でも有数の会社へと成長しました。

まとめ

シナジー効果をうまく利用すれば、売り上げ、組織マネジメントの強化や十分な資金調達をおこなうことが可能になり、企業の発展に大きく貢献します。

しかし盲目的にシナジー効果が期待できる施策を進めてしまうと、これまでの企業文化を交わしかねないので、とくに管理職の人は十分注意しながらM&Aなどを計画してみてください。

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この記事を書いた人

すべらないキャリア編集部


「ヒトとITのチカラで働く全ての人を幸せにする」というミッションのもと、前向きに働く、一歩先を目指す、ビジネスパーソンの皆さんに役立つ情報を発信します。

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