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行政書士とは
行政処理は1951年(昭和26年)に成立した「行政書士法」に基づく国家資格です。身近な法律専門家として市民と行政・官公庁との橋渡しや、各種法律相談を受け付ける役目を果たします。
弁護士や公認会計士、社会保険労務士など法律や会計に係る専門性・公益性の高い士業を特に「八士業」と呼びますが、行政書士も八士業の一つです。
知名度の高い資格で、行政書士として活躍したい人はもちろん、他の士業を志す人がダブルライセンスを目的として受験することもあります。
行政書士の仕事内容
行政書士の業務は大きく3つに分けられます。
- 官公署へ提出する書類、権利義務や事実証明に関する書類を作る「書類作成業務」
- 作成した書類の申請を代わりに行う「許認可申請の代理」
- クライアントからの相談を受け、アドバイスを行う「相談業務」
書類作成業務と許認可申請の代理は、行政書士の独占業務であり行政書士資格がなければ実施できない業務です。
飲食店を開業したい、不動産売買をしたい、医薬品を店舗で販売したいなど行政書士が扱う業務範囲は幅広く、作成可能な申請書類は1万種類以上もあるといわれています。
相談業務は、行政書士の経験・ノウハウを活かし各企業や個人に対して会計、資産運用、遺言・相続などのコンサルティング業務です。
定型業務ではなく、自身のスキルや関心、クライアントのニーズに応じて業務内容を拡大していきます。
行政書士はどんな人におすすめできるのか
行政書士試験の受験者平均年齢は、30代が約40%、20代が約33%、40代が約17%の割合です。
既に社会人として勤務している20~40代は法律・行政の知識を体系的に習得できるのでキャリアアップやスキルアップを目指したい場合におすすめです。
また、他の関連資格とのダブルライセンスや専門性を高めることで個人事務所の独立開業も視野に入ります。
20代の大学生の場合は、公務員試験や宅建士、司法書士、さらに高難易度の税理士・弁護士など法律系資格の受験にあたり「力試し」がしたい人には行政書士がおすすめです。
法律知識を広く浅く身に付けられるので登竜門として受験できます。
また、就職活動中の場合は履歴書にも記載・アピール出来る資格なので、企業の総務や法務部門などを狙う人にはおすすめの資格です。
また、専業主婦や育産休中の女性など、身近なテーマを扱う行政資格は女性にも人気の資格です。
スキマ時間を上手く活用することで私生活と両立しながら合格を狙うこともできます。
行政書士の試験概要
行政書士試験の試験概要は以下の通りです。
試験時期 | 年1回11月実施 |
---|---|
試験科目 | 行政書士の業務に関し必要な法令等(全46問)、行政書士の業務に関連する一般知識等(全14問) |
出題形式 | 法令等(択一式及び記述式)、一般知識等(択一式) |
受験手数料 | 7,000円 |
受験会場 | 47都道府県の大学施設など |
試験時間 | 3時間 |
受験資格 | 年齢、学歴、国籍等に関係なく、誰でも受験可能 |
行政書士試験は憲法、行政法、民法、商法などの幅広い法律・法令が出題対象となるので、苦手分野を作らず満遍なく知識習得を進める必要があります。
また、行政書士試験の特徴として、行政書士業務に関わる一般知識が出題されることも挙げられます。
政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護など日頃からニュースをチェックしておくことも重要です。
行政書士は独学でも十分に合格可能
行政書士試験は他の法律資格に比べて難易度は低めです。
法律系の資格としては登竜門の位置づけなので、初学者の方でもしっかり勉強を継続できれば十分合格レベルに達するでしょう。
とはいえ、行政書士試験は出題範囲が広く、向き不向きもあります。独学で勉強する場合は学習計画・進捗管理、日々のモチベーション管理まで全て自力で解決することが必要です。
少しでも独学での挑戦に不安を覚えたり、効率よく合格を目指したい人は通信・通学講座を利用してみましょう。
経験豊富なプロ講師による講義で出題頻度の高い箇所をピンポイントに対策したり、不明点をすぐに質問できたりと通信・通学講座の利用メリットは多くあります。
行政書士試験の合格率
行政書士試験の直近5年間における合格率は以下のようになっています。
年度 | 受験申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
令和2年度 | 54,847 | 41,681 | 4,470 | 10.7% |
令和元年度 | 52,386 | 39,821 | 4,571 | 11.5% |
平成30年度 | 50,926 | 39,105 | 4,968 | 12.7% |
平成29年度 | 52,214 | 40,449 | 6,360 | 15.7% |
平成28年度 | 53,456 | 41,053 | 4,084 | 10.0% |
法律系の類似資格である社会保険労務士や司法書士といった資格の合格率が5%前後であることを考えると、法律の学習経験がある人にとってはチャレンジしやすい資格といえるでしょう。
平均的な受験回数は2回といわれますが、一発合格の人も多いようです。
行政書士合格に向けた勉強
行政書士の試験は司法書士などの法律系試験と比較すると難易度が低めとはいえ、しっかりと勉強しておかないと簡単に合格はできません。スムーズに行政書士合格を勝ち取るため、要点を押さえた学習計画をあらかじめ立てることが重要です。
ここからは勉強を効率よくすすめるため、目安となる勉強時間と、勉強方法のコツを紹介します。
勉強時間
前提となる法律知識があるかどうかでも変わってきますが、600~1000時間の勉強時間が目安となります。
毎日2時間の勉強時間を確保出来たとすると、1~1年半程度の勉強時間で合格が可能です。
ただし、行政書士の受験者平均年齢の7割を占める20~30代は日々忙しく社会人生活を送る人が多いでしょう。通勤時間や昼休み、帰宅後、休日など勉強時間を確保するのは、かなりの覚悟が必要となります。
独学で進めるのも可能ですが、最短で合格を目指すなら通信・通学講座を利用するのもおすすめです。
勉強のコツ|1. 行政書士試験用のテキストを用意する
行政書士の出題範囲は法律が元となりますが、法律の専門書をいきなり購入しても範囲が広すぎて手が付けられないこともあります。また、全ての範囲を完全に網羅するのは時間がかかり非効率です
まずは試験対策用のテキストを購入し、出題傾向や問題の感覚を掴みましょう。
どの参考書を使っても良いですが、行政書士試験では直近の法改正内容から出題されることもあるので、最新の参考書を選ぶことが重要です。
また、最短合格を目指すならメリハリを付けて頻出分野を重点的に対策するようにします。特に法律系の出題科目のうち75%以上の配点がある行政法と民法を得意分野としておくことが有効です。
勉強のコツ|2. 過去問学習を重視する
行政書士試験では過去問がそのまま出題されることはありませんが、過去問で問われた趣旨や論点が理解出来ていれば回答できる問題も多くあります。
受験日までに直近5年分、可能であれば10年分くらいの過去問に取り組み、出題された条文の趣旨や判例を正しく押さえておくことが効果的です。
また、行政書士試験では記述式の問題もあります。複雑で長文の設問を読み解き、的確な回答ができるように過去問や参考書を使いながら練習をしておきましょう。
試験日が近くなったら過去問に時間を計りながら問題に取り組みます。
どの科目にどのくらい時間をかけるかは、人によってまちまちです。時間配分などを考えながら事前にシミュレーションしておくようにしましょう。
まとめ
行政書士は独学でもチャレンジしやすい国家資格として人気があります。活躍の幅も広いので独立開業を目指す人はもちろん、キャリアアップや更に上位資格を目指す過程で腕試しをしたい人にもおすすめです。
前提知識の有無で多少の前後はありますが、約1年間の勉強期間が必要となるので、学習方法・学習計画をきちんと立てること、モチベーションを維持することが不可欠です。
受験勉強に不安がある人、最短合格を目指したい人は通信・通学講座でプロの手を借りる方法も検討しましょう。
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この記事を書いた人
すべらないキャリア編集部
「ヒトとITのチカラで働く全ての人を幸せにする」というミッションのもと、前向きに働く、一歩先を目指す、ビジネスパーソンの皆さんに役立つ情報を発信します。